敵地の方がより多くの笑顔で過ごせるという皮肉・・・
補給もなく、敵地のど真ん中で放り出されたスピアヘッド5人。しかし、共和国の支配から逃れた彼らは年相応に帝国の土地を楽しんでいました。
共和国からの支配を逃れ、目的である帝国まで進んだ彼ら。あとはどこかで死ぬだけだとしても、今までになく心穏やかに日々を過ごしていました。
特にシンは、兄をともらうという目標を達成したためか、口調が明らかに穏やかになり、良く笑うようにもなりました。仲間はその変化を兄のともらいとレーナへ後を託したからだろうと考えます。
シンは今まで戦場で死ぬ仲間を見送り、仲間の魂を墓場まで持って行こうとする側でした。そんなシンがレーナに言い残した言葉は「先に行きます。」。ようやく自分が見送られる側になったことで解放されたのかもしれません。
ただ、ライデンはそんなシンを不安に思います。こいつには、もう何も残ってないんじゃないかと。
ライデンは燃え尽きたシンが、フラッと死んでしまうのではないかという不安があったんだと思いますが、個人的にはそれでもいいんじゃないかと思いました。もうシンは頑張らなくて良いんじゃないかと。
そんな時、シンが突然いなくなります。ライデン達がシンを探すと、シンは帝国内の動物園にいました。そこには檻の中で放置され、そのまま骨になった動物たちが多数いました。
シンはそこでレギオンと対峙していました。そのレギオンは黒羊ーー元86-エイティシックス-であり、シンに必死に呼びかけていました。
「帰りたい」
シンはその声にこたえるように止めを刺します。以前のシンのように冷静に、冷酷に。
シンの死神としての役割は死ぬまで続くのでしょうか。
シン達はある「理想郷」について話します。旧帝国領を超えて、レギオンの支配領域を超えるとそこには生き残りたちがいるのではないか?そこに行けば、幸せに暮らせるのではないか。
シン達は生きてそこにたどり着くなんてことは全く考えていませんでした。ライデンは「そんなもんに期待するならとっくに頭をぶち抜いている」とも言います。それでも、もし生き残るとしたら・・・
「お前は…一人で向こう岸に行っちまうのか?」
ライデンがシンに言いました。
そんな彼らを励ますように、自律補給支援ロボのファイドはコミカルな動きを見せます。
可愛い!!
流石、唯一の癒し枠。
シンと一番長い付き合いであり、スピアヘッドの結成から今までをずっと記録し、見守り続けたファイド。彼(彼女?)は間違いなくスピアヘッドの仲間でした。
そして――ファイドは10話の最期に敵からの攻撃を受け破壊されました。
何と次で最終回!
バッドエンド一直線な86-エイティシックス-ですが、このまま死んだとしても個人的にはハッピーエンドなのかなと思いました。
共和国の支配からは逃れ、文字通りの戦友たちと共和国民が見たことがない景色を眺めながら精いっぱい過ごせる毎日を送る。彼らは十分なハッピーエンドを勝ち取ったのではないかと。というか、仮に生き残っても、またつらい毎日を送るのではないかと考えると・・・。
しかし、本当にアニメスタッフに愛されている作品だなと思います。
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