思った以上にダークエルフ可愛いな!!
新たな性癖に目覚めそうです。
タイトルは別に間違ってはいないんですが、割と殺伐とした中での人間とダークエルフの純愛がテーマだと思います。
鎌池先生の作品の中でここまで主人公とヒロインが真正面から恋愛している作品は珍しいと思います。(浜面と滝壷くらい?)
まあ、鎌池先生の作品でしたので全くあらすじは信用していませんでしたが、まさか密林での本格サバイバルになるとは思いませんでした。特に生き残るために野ネズミをそのまま食したシーンは読んでるだけで吐き気がしました。
そんな生々しいサバイバルでしたが、主人公がダークエルフに一目ぼれして、そのダークエルフに殺されかけていたのに、ずっと自分の嫁にすることを諦めないほどの馬鹿でしたので陰鬱な雰囲気はあまり感じませんでした
あと、鎌池先生の作品としては、主人公が命を懸ける理由が世界の命運がかかっているから、とか許されないことだからではなく、「一目ぼれしたのが理由じゃー!!」というのが珍しかったです。
だからなのか主人公に感情移入しやすかったですね。
この作品の魅力は主人公の前向きな行動だと思います。
一度足を踏み入れたら二度と出られないといわれている迷いの森でダークエルフに命を狙われる(と思っていた)絶望的な状況。そんなときに主人公のクラオスがとった行動は魔法などの圧倒的な力を使うことではなく、言葉も通じないダークエルフたちを観察し理解することでコミュニケーションを取ろうとすることでした。
敵と思われるダークエルフをどのように制圧するかではなく、どのように味方にするか、自分を理解してもらおうとするかを常に考えていました。
そのような行動を最初から最後まで取っていたので、最後に意中の「スレンダーちゃん」がクラオスに惚れるのも納得でしたね。
人からの好意を得るために、最も現実的な行動をとっていたと思います。
しかし、自分と敵対している言語が全く分からない相手とコミュニケーションを取ろうとするクラオスは本当にすごいと思います。私なんて会社の中ですら半ばコミュニケーションを諦めているのに・・・(遠い目)。
前半でストレスを掛けた分、後半にダークエルフの可愛さが爆発した気がします。
ダークエルフの言語が分からないという設定と主人公が一人で森をさまよっていたため、前半は他者と会話できることがなく読んでる私にもストレスがかかりました。たまにダークエルフにも会うのですが、相手が何をしたいのか?どういう立場なのか?クラオスの主観からしか分からず、クラオスの孤独感が私にも伝わってきました。
しかし、その分、ダークエルフたちの言語が分かりダークエルフたちとコミュニケーションが取れるようになった後の、ダークエルフたちの愛おしさが半端なかった!!
あ~こんな性格なのか、こんなことを考えていたのか、と。割と友好的な部族だったこともあって凄くかわいく見えました!
前半に孤独感を散々感じさせられた反動が一気に出たのかなと思います。
タイトルからは予想できないサバイバル要素を土台にした純愛物語だった今作。ダークエルフの可愛さをここまで表現できるのは凄いなと思いました。
あと、鎌池先生らしいなと思うのは、学園を物語の主軸にしなかったこと。主人公が魔法の学園に通い、しかも年下なのにお姉さんぶる女騎士やトラブルメーカーの女教師などの特徴のあるキャラがいるのに物語の9割9分は虫や野生生物が沢山いる森の中。学園が出てきたのは最後の10ページくらいという、他のライトノベル作品ではまずありえない1巻となっています。
こういうズラシが鎌池先生らしいなと思います。
主人公にもヒロインにも好感が持てて、純粋に二人の恋愛を応援したくなる作品でした。1巻で綺麗に終わったので、続編は無いのかな?
「アポカリプス・ウィッチ」よりは王道な作品かなと思います。
・・・しかし、真早先生・・・幼女とスレンダーの意味を一度考え直した方が良いのでは・・・?(可愛かったけど)
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