恋愛は美しいが清いとは限らない。
1巻よりもシリアス度が高くなり、緊張感が漂いながらもタイプの違う可愛い二人の女の子の恋する姿を読める、満足度がより高い1冊でした!
主人公たちの周囲にある身勝手な恋愛を見せながら、最後には主人公が知らず知らずに抱えていたヒロインへの醜い独占欲を突き付けられてしまった二巻。
独占欲を満たすためのためのアクセサリー作りとなっていることに気づき、クリエイターとして真摯に向き合えているのかを主人公の悠宇は悩むことになります。
最終的には悠宇と日葵の強固な絆が確認できましたが、踏み台ヒロインとしては凛音ちゃんが強すぎる気がする。逆転あるのでは・・・!
ネタバレありです!
永遠の友情を誓った親友ふたりに――初恋少女の変&恋するリア充軍団の乱!
☆★☆コミカライズ2021年8月連載開始!☆★☆
SNSで話題の青春〈友情〉ラブコメディ『だんじょる?』!!ある男女が永遠の友情を誓い合い、2年半の歳月が過ぎた頃――二人は今さら、互いへの恋心に気づき始めていた……!
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散々積み上げてきた黒歴史から目を背け、「恋愛って何?」な態度を装い続ける悠宇と日葵、だったのだが――。
「悠宇。中間試験、全部白紙で出しちゃったの……?」
降って湧いた悠宇退学の危機! 加えて悠宇の初恋相手・凛音の「一番になるね」宣言に、学校での“you”の身バレと、そこから巻き起こる恋するリア充たちのフラワーアクセブームが、二人の心をさらなる混沌へ突き落とす!! 果たして恋と向き合った日葵は〈真の親友〉へ前進なるか?
優れた容姿と人当たりの良さで、人間関係が広くなっていた中学時代の日葵。そのため、恋愛絡みの醜い感情に巻き込まれることも多くなりました。彼女がいるのにアプローチを掛けてくる男、自分の彼氏を誘惑したとかみついてくる女。そして試しに付き合った男からは5股されて、冗談抜きで他の女に殺されそうになった経験。
中学生でそんなドロドロした恋愛をするのかと女子と会話する機会もほぼ無かった私は逆にうらやましかったですが(マテ)、そんな面倒くさいことに巻き込まれた日葵は恋愛というものを忌避するようになり、悠宇のアクセサリー作りをしている際の純粋なまなざしに惹かれました。
悠宇と親友という枠組みにこだわったのは、惹かれた悠宇の眼を、嫌っている恋愛と関係づけたくなかったのもあるのかなと思いました。
そんな親友という関係がぶち壊れて互いに恋愛対象として意識してしまった今回。日葵の何とかごまかせて、それでも1割くらいは零れ落ちてしまう恋心は滅茶苦茶可愛かったですが、強調されたのは悠宇の日葵に向ける異常な執着心。
日葵へのアクセサリー作りに集中するため、中間考査の答案を白紙で出すという暴挙が明らかになります。
モデルをやるため東京に出ると嘘を吐いた日葵に付いていくため、学校をやめる覚悟もあったことから、日葵への凄まじい執着を感じました。
日葵と一緒に続けていたアクセサリーの販売。悠宇の友達の真木島の策略もあり、本来は主な顧客相手ではなかった同級生に注目され始めます。
しかし、高校生としては高いお金が関係したこともあり、もめ事が起きてしまいます。
自分勝手な客の行動と訴え。しかし、日葵の(変態)兄は悠がクリエイターとしていずれぶつかる壁だったといいます。好き勝手に意見を言うお客に対してどういう対応をするのか、またその対応をしてまでもクリエイターを続ける理由は何なのか。
確かに、私のような読者に好き勝手に感想を書かれるクリエイターの人は本当に大変だろうなと思います。クリエイターとはそんなお客の身勝手な悪意に晒されても、やりたい理由がないと続けられないものなのかもしれません。
ちなみに七菜先生は印税様のためだそうです(笑)。
今回、クリエイターとしての壁にぶち当たったことで高校生活でのアクセサリー作りを諦めることにした悠宇。しかし、その理由はお客の悪意にぶつかったことではなく、アクセサリー作りの目的が日葵をそばに置きたい醜い執着心からくるものだと気づき、お客に対して・アクセサリー作りに対して不誠実だと考えたからでした。また、そんな自分の日葵への純情が気持ち悪いとも・・・
(ちょっと潔癖症すぎない?それが醜いとしたら、私の心は生理的に吐き気を催すレベルの汚さになるよ?と読んでて無駄に自己嫌悪に陥りました。)
そこで、アクセサリー作りをやめるなら親友もやめるという日葵と、どんな悠宇でも好きだよという凛音の二人のヒロイン。果たして、悠宇が選ぶのは・・・!
日葵でしたー!
・・・何でやねん!聖母の様なやさしさと120%の愛情を見せる胸が大きい(重要)美少女の凛音ちゃんの何が不満なんじゃ、コラー!!!
と、凛音ちゃんファンの私は某物語シリーズの妄想暴走族のように「ふざけんな!この野郎!」と罵倒し続けましたが、悠宇としては誰にも理解されなかったアクセサリー作りという情熱の行き所を初めて「好きだ」と言ってくれた日葵に対する想いは強く、どうしても日葵を選んでしまいます。
最終的に辿り着いた彼がアクセサリー作りを続ける目的は、日葵と一緒にフラワーショップを開くため。
その思い自体は汚い独占欲でも、いつか美しい花を咲かすのではという希望をもって悠宇は日葵とアクセサリー作りを続けていくことを決めます。
2巻でも悠宇と日葵の関係の踏み台にされた感の強い凛音ちゃんですが、2巻は1巻以上に凛音ちゃんの魅力が大爆発。1巻では無愛想なクール女子な感じが強かったですが、2巻では素直に好意を伝える女の子の破壊力がヤバすぎでしたね。
彼女の魅力の一つとして、どこまでも前向きに恋愛していることかなと思います。
2巻までで5回告白して5回断られてる凛音ちゃん。しかし、落ち込むことはほぼ無く、じゃあどうやって好きになってもらおうか、どうやったら悠宇の助けになれるだろうかと考えます。
またライバルの日葵を蹴落とそうと考えるのではなく、むしろ悠宇と日葵の関係を尊重しました。その上で悠宇の心に近づくのはどうすればいいのかと。
悠宇に対する好意を全く隠さずに、それでいて押し付けることはない。男が考える女性の理想像の一つじゃないでしょうか。
ここまでポジティブな感情になれる負けヒロイン(言い方!)の恋愛は初めて読みました。
このようにメインヒロイン級の強さを見せつける凛音ちゃん。悠宇自身も認めているように、確実に凛音ちゃんへの好意は深まっているので、逆転あるのでは?と密かに期待しています。
真木島が日葵に言った、
「ナツが全てを捨てようとした覚悟に君が釣り合っていないことを露呈させる前に勝負を決めるべきだった。」
の言葉の意図が2巻では出てないような気もします。むしろ悠宇は日葵にすべてを懸ける覚悟を再確認したように見えますが、今後果たして。
親友という綺麗な関係に、独占欲の混じった汚い恋愛感情が入ることに戸惑いを感じる悠宇。
個人的には汚い感情が入り混じるから恋愛物語は面白いんじゃん!と思いますが。
お互いにヘタレなければ、すぐにでも付き合える二人ですが親友という関係も大事にしたいなら関係が進むことは中々ないのではとも感じました。今回も恋愛関係よりは対等な立場を目指した親友関係の方が進んだ気がします。
親友と恋人の関係をしっかり区別して次の段階に進むのか、親友としての関係を大事にしつつ恋愛も育むのか、お互いにその結論を先延ばしにしている感じがありますね。
この間がチャンスなので、凛音ちゃんには是非頑張っていただきたい!!!
次巻も楽しみです。
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