改めて言おう。儂は剣の頂点、剣の極みを目指す。それまで、いや、お主が望んでくれるならば、その後も共に生きようと宣言する! 良いな、虎丸!
普通の男子高校生が転生して無双する。が転生ものの基本(?)だと個人的に思いますが、じゃあ私たちがいるこの世界でも強い人間が転生したらどうなるのか?例えば日本一の剣豪が――――
この作品は戦国時代が終わりを告げたころに日本一の剣豪となった一人の人間が、剣の道を究めるために異世界に転生するというもの。主人公は生身では強いんだけど、異世界のルール(レベル、ステータス)により勝てない相手も多くいるというところが面白いなと思いました。
魑魅魍魎、悪鬼羅刹を滅し―― その先にある剣の頂点に再び!!
剣を極められず無念の思いを抱えたまま最期を迎えた男は、神の力を借りエルフの少年ハークの姿となって異世界に転生。
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目覚めて早々出会った虎丸と旅立つと、道中で三人組の男に襲われてしまう。剣術が一切通用しないピンチに陥る中、ハークは「この世界は面白い」と笑みを浮かべつつ、どうにか男たちを倒し、王国東の都ソーディアンを目指す。
情報収集のためハークが街中を探索していると、エルフ・ヴィラデルと刃を交える事態に。そんな中、世界最強の青龍が都に襲いかかる!! ハークは街を守るため立ち向かうのだが……。
剣の頂きを目指す異世界剣戟ファンタジー、開戦!!
転生は、全部ではないですが、大体転生者が最強なのがほとんどだと思います。特に転生前が強ければ。しかし、この作品の主人公 ハークは(前世の名前は記憶から消された)修羅場をくぐった経験、達人の体さばきがありながらもレベルやステータスが低いことから、ただ乱暴なだけの荒くれにも苦戦してしまいます。
面白いのはレベルやステータスを戦闘や日々の鍛錬で得られる技術や筋力とまるっきり別物に分けていたこと。これにより、武人としての格は明らかに下のものにもハークは苦戦していました。
一応、ヒロインポジションにヴィラデルというキャラクターもいるのですが、相棒の魔獣虎丸との関係のほうが深く描かれていました。
虎丸は白虎のような形をした魔獣であり、レベルが上がることでハークとの会話が可能になりました。その時の口調が可愛い弟分のようであり、ハークに様々なことを教え、絶対の忠誠心を示していました。ハークもその忠誠心に感謝し、剣を究める道を共に生きることを誓います。
ハークの前世が日本の侍という設定からも、忠義の関係性を深く描きたかったのかなと感じました。
日本一の剣士が異世界に転生するというところも新鮮でしたし、RPGのようなルールがある世界で心技は最強なのに体の方で圧倒的な差があり最強になれないというところも新鮮でした。
少しきつかったのは情報量が多かったこと。異世界の設定に加えて戦国時代末期から江戸時代初期の生活文化の知識でハークが話すので、理解するのに少し疲れました。
あと、ハークは対人においての最強だったはずなので、もう少し対人戦を見たかったなと思いました。これが異世界でも最強!!というのであれば対人戦よりもドラゴンとかの方が見ごたえがあるかもしれませんが、レベルやステータスのせいで対人戦でも苦労していたはず。であれば、それを達人の技量で上回る展開でも盛り上がったんじゃないかなと。(ヴィラデルの攻撃に反応した場面は面白かったです。)
ハークの前世の人物は何となく想像しましたが、歴史に疎いので推測はやめておきます(笑)。
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