全部、壊して ー 全部だからね
今回の話で、最も印象に残ったのは姉妹の絆は確かにありながらも、親から子、子から親への情は一切無かったことです。禪院姉妹がどのような扱いを受けていたのか、具体的な描写は無かったですが、一般的な親子の触れ合いは一切なかったことだけは分かりました。
切り捨てた自分の娘を引きずって、しつこく自分が当主になれなかった理由を吐き捨てる扇。
「兄の術式は歴史が浅く、相伝か否かはそこまで争点ではなかった。」
「(私が後れを取ったのは)唯一、子供の出来のみ」
しかし、前当主の直琵人が当主になったのは純粋に実力だったと作者の芥見先生がおっしゃっているので、この考えは見当違いです。自分の実力不足を娘に転嫁したかったのでしょう。
あと、直琵人や直人の術式の歴史が浅いことが分かりました。動画というものが出てきた20世紀初頭以降なのかな?
姉妹をそのまま2級以下の呪霊が多数いる懲罰室に放り込み、なお扇は吐き捨て続けます。
「さらば、わが人生の汚点」
真希とは違い、まだ意識のあった真依
自分の術式で作った何かを口ととおして真希に流し込みます。
その後、心象世界?で双子の妹は姉に告げます。
「私、死ぬから」
「後は一人で頑張りなさい」
真希は当然止めますが、真依は呪術師が双子で生まれてくることのデメリットを言います。
「双子は呪術では同一人物とみなされる」
「例え、真希が何かを犠牲に何かを得ようとしても、私がいる限り何も得られない。」
「私がいる限り真希は一生半端物」
パパ黒が一切の呪力を持たない代わりに虎杖以上のフィジカルを持っていましたが、真希は双子の真依が呪力や術式を持つ限り、中途半端にしか身体能力を得られない。だから、真依は自分が消えることによって中途半端な状態から真希を開放しようとします。
なおも真依を止めようとする真希に対して、一つの羽を渡して真依は最後の言葉を託します。
扇は呪霊の消滅反応を感知し振り返りました。そして、感じる、忘れたはずの恐怖。呪術師としては出来損ないのはずだった男に感じた恐怖と同じものを、死ぬ寸前だった自分の娘、真希に感じます。
「いいだろう!今一度、骨の髄まで焼き尽くしてくれる!!」
「来い、出来損ない!!」
これが扇の最後の言葉。真希は自分の父親をうっとおしい羽虫を払うかのように切り殺しました。
そこで挟まれる羽ばたく鳥の描写。
「葦を啣む」。鳥が羽ばたく際に休憩する様子から、準備を入念に整えることを意味することわざです。真希は真依を失ったことで、準備を整えることができました。禪院家を全部壊すための。
[悲報] 直哉君、終了のお知らせ
禪院家が姉妹を追い込んだ結果、姉妹が力を合わせて禪院家を追い詰める力を得たという皮肉。まあ、完全に自業自得ですが。直哉君は来週死んでも特に不思議ではありませんが、個人的には語彙力のない捨て台詞を吐き捨ててから無様に逃げてほしいですね!そして、散々逃げ回った後にプライドが全部ボロボロになりながら死んでほしいです(ゲス顔)。
禪院姉妹は実の父親に殺されそうになっているのに「どうして」とか「なんで」と問わずに、さも当然のことのように受け入れていたのが、今までの扱いを一番象徴しているような気がしました。
|