ヤンデレは好きですか?
私は苦手です。
好きという言葉を免罪符になんでもやって良いという我儘さを感じる時もあります。
この作品に出てくるヒロインはいわゆる重い女性です。主人公に対して読者がドンびくような行動をする時もあります。
めっちゃ可愛いです。
・・・分かります。お前の感情、矛盾してんじゃねえかというツッコミ。
ですが、例えば、あまりにも辛すぎるポテチは嫌でも、程よい辛さのポテチは凄く美味しくありませんか?
それと一緒です。
・・・意味が分からない?
じゃあ、具体的にキャラを挙げれば、めぞん一刻の管理人さんみたいな可愛さです。
古すぎる?
・・・犬夜叉の桔梗みたいな可愛さ・・・
まだ古い? そもそも、その例え合ってるのか?
とにかく!
読んでみれば、ヒロインの可愛さは分かります!
ちなみに藍月先生の前作は「あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね」ですが、なぜ続編が出ないのか理解できないくらいに面白かったです。
ここ数年のラブコメでぶっちぎりに面白かった!(※個人の感想です)
今ですら定期的に読みたくなります!
それはさておき、感想へ~。
一応ネタバレはないです。
はずです。
この作品のテーマである魔法VS現代工学。
”現代”と付いてる通り、あくまで今の科学(工学)を応用してどこまで未知の魔法に対抗できるかという視点であり、「とある魔術の禁書目録」のようなトンデモ魔法とトンデモ科学の応酬というわけではないです。
魔法を使うのは敵の方ですが、魔法で何でもできるというよりは何かしらの法則を付け加えられる感じで、現代工学でも太刀打ちできるかもしれないというレベルでした。
作者の藍月先生が高専出身ということで、出てくる工学用語(3Dプリンタとかセンサとか)も原理も説得力がありましたが・・・ちょっと難しかった!
一応、理系出身の私でも読むのが止まってしまったところもあったので、文系出身の方にはもっと難しいかもしれないです。
作品のテーマ上、避けられないところだったのでしょうがないですが・・・逆にテーマとかかわる部分だったのでサラッと流せなかったのも厳しかったかもしれません。
さて、藍月先生と言えば前作の「あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね」でも出てきたように感情が重いヒロイン・・誇張して言えばヤンデレヒロインが特徴となります。
この作品でもそんなヒロインが出てきます。
おっと、ご安心ください。
その重さに比例してヒロインの可愛さと魅力も上がります。
冒頭で書いた通り、私はヤンデレが苦手です。普通に怖いです。ガクブルです。
ですが、藍月先生のヒロインはそんな重い自分に罪悪感も感じており、読者が共感できるヤンデレです。
つまり、可愛いんです!(主観的な意見)
・・・上手くは言えないんですが、重い女性の行動や思考がそのヒロインの魅力や可愛さにちゃんとつながってるんですよね。重さがライトノベルという枠組みから外れないように、ポップさもちゃんとあるというか。
その辺りのバランス感覚が本当に見事だと思います。
あとがきで藍月先生が「正しい恋愛という言葉に強烈な忌避感がある」と書いていました。作品を読むとそのことが理解でき、そこが何よりも作品の魅力になっている気がします。
専門的な工学系の言葉に詰まるところはありましたが、全体としての物語の完成度は流石の一言。最後の主人公の取った行動は予想できたはずなのに、「なるほど~」と感心しました。
あと友だちがいい奴すぎませんかね。
あんな友達欲しかった・・・。
ちなみに誰がヒロインかは読む人によって変わるのではないかと、あとがきにありましたが、私にとってのヒロインはアルエットですかね。
何故かって?
一番可哀想だったから。
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