「聖剣を抜けるほど、心優しき魔王」聖剣使いの最強魔王 1巻 感想

待ってろよ、魔王様。お前は必ず俺がぶっ倒す。

人間に対して優しい魔王マヒトが、人間は皆殺しにすべきな弟マガツに嵌められて殺されそうになったときに勇者の召還で人間に呼び出されるところから始まる物語。

魔王であるマヒトが聖剣を抜いたり、日本の女子高生が勇者候補の一人として呼び出されたり、魔王・お姫様・女子高生の3人が勇者育成学校に行ったりと、設定の大渋滞を起こしていながらテンポの良さが際立ち、あっという間に読めてしまいました。それでいてギャグの場面とシリアスな場面できっちりメリハリがついていて、どちらも楽しめるというエンタメとして完成度が高い作品だと思います。

個人的に、アニメ化しやすい作品、いつの間にかアニメ化してるんじゃないかと思う作品でした。

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あらすじ

歴代最強の力を持ちながらも平和を望む、異端の魔王マヒト。
しかし、対立する弟の裏切りに遭い、卑劣な罠と策略によって殺される――直前、なぜか人間界に召喚された! さらに、魔王だと気付かれないまま、長い間誰も抜くことの出来なかった聖剣と適合し――
『魔王と聖剣――この二つが揃って負けるわけねぇだろ』
魔王としての圧倒的な力と風格に加えて世界最強の聖剣を手にしたマヒトは、自身を慕う王国の姫・フラウディアを連れ、厚顔無恥な王族や襲い来る魔族達を一蹴し、我が道を突き進む! 魔王が聖剣で世界を制す、掟破りのバトルファンタジー!

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圧倒的テンポの良さ

池乃めだか

特にギャグの場面ですが、テンポの良さが際立っていました。

例えばマヒトが勇者として呼ばれ、そして聖剣を折ったことで罪人として人間たちに捕えらられようとした場面、

①若くして相当の修羅場をくぐってきたであろう騎士ガイザの場合

「一つ警告しておく……俺は剣を抜いたら手加減はできん……死にたくないのであ──ほげーっ!」

警告と断末魔を1行で済ませました。

②騎士団長の場合

「一目見ただけで只者ではないと分かります。私とて、少しでも気を抜いたら危ない相手で──ほげーっ!」

冷静な相手の実力判断と断末魔を1行で済ませました。

吉本新喜劇かな

このようにギャグの場面では圧倒的なテンポの良さで進んでいき、読んでいてい気持ち良かったです。

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きっちりシリアスも

序盤はギャグ的描写が多かったですが、終盤はシリアス成分多めな部分もあり、どちらも面白くメリハリがついていた感じがしました。

シリアスな場面では、ただ極悪非道なだけでなく不気味な強さを持つ敵、その敵に対して自分の信念をもって立ち向かうキャラクターたち、そしてしっかりとした裏付けのある撃破の理由、それらをひっくるめた確実なカタルシスと読んでいてとても面白かったです。

特に、敵が迫ったときの緊張感が凄く感じられました。最強モノの主人公だとその部分が薄くなりがちだと思いますが、最強なのに皆に認められているわけではない、周りが全員ヨイショするわけではないなどのことが、主人公が決して絶対ではないという空気を作ったのかなと思いました。

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まとめ

ギャグもシリアスも、これがお手本と呼ばれるように面白かった今作。

上記で触れてないですが、主人公周りのキャラクターも個性があってよかったです。ただ主人公を引き立たせるだけのキャラではなく、ちゃんと自分というものを持っていて、そのキャラ単体だけで魅力がありました。

特に、天道陽子というキャラは同じ名前、容姿のキャラが魔物側にも召還されていて謎多きキャラでしたね。性格が全然違うので同一人物ではないと思いますが・・・主人公側の陽子も一度は勇者を拒否しているのに何故か自分の意志で戻ってきたということがありますので、その辺りは全く無関係じゃないのかな?

ライトノベルとして読んでて「普通」に楽しい作品でした。


Dai

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Dai

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