工場で働く際に交代勤務という勤務体制があります。(主に半導体工場などで採用される勤務体制)
一日を昼と夜で2分割し、一日中生産し続ける体制です。
その際に普段人が寝ている夜に働く夜勤という勤務があり、この際には夜勤手当が出ます。
また昼と夜を交互に繰り返す特殊な勤務体制であることから、3勤3休という特殊なシフトが取られる場合もあります。この場合、一つの工程(エリア)で仕事をするのは基本一人です。
このような夜勤手当や、特殊なシフトにより休日出勤しやすい特徴から、36協定による時間外労働時間の上限内(45時間)で基本給の最大約60%の手当てを受け取ることが可能となります。
今回はその詳細な内訳について見ていきます。
(私は交代勤務をしている作業者ではありませんが、交代勤務の作業者と日々接している立場になります。また私自身も交代勤務の経験が半年ほどあります。)
注:あくまで手当という面から見た時の交代勤務のメリットです。
例えば、半導体工場では昼勤務と夜勤務を4人の作業者で交代して行い(12時間交代の場合)、工場を一日中稼働させようとします。(例外もある。)そのため、月に働く半分は夜勤となり、その分の夜勤手当が付きます。
夜勤手当は例えば下記の式で計算されるとします。
時間割賃金×夜勤時間×0.3
1回の夜勤での夜勤手当の時間を5時間とした場合、夜勤で労働した時間(10時間)の半分は手当が出ることになります。1か月の勤務の半分の日数を夜勤で入るとすると1か月で得られる夜勤手当は
一か月の給料×月の夜勤の割合(0.5)×夜勤の中で手当が出る割合(0.5)×係数(0.3)=0.15
となり、月の給料の15%分を夜勤手当てでもらえることになります。
月の給料が20万円なら3万円手当が追加されます。
働き方改革で残業や休日出勤がしにくく、時間外労働で稼ぎづらくなってきた日本。
私の会社でも時間外労働が20時間を超えると注意されるようになってきました。
そのような世の流れの中で、ワークライフバランス(プライベートとの両立)という点は無視して、単純に時間外手当が欲しいんだ!ということであれば、交代勤務はなかなかに魅力的です。
理由としては、交代勤務の作業者が休暇を取る場合は誰かが代わりに休日出勤(時間外労働)をしなければならないことが挙げられます。1つのエリアを一人で任せられるのが普通なので、誰かが休めば誰かが出勤しなければなりません。
働き方改革では有給休暇の取得も勧められていますが、その休暇を取得しようと思ったら誰かが休日出勤しなければならない。つまり、会社側が時間外労働時を規制しにくい勤務体制となっています。
(規制しようすれば、休暇の取得を制限するか工場を動かさなくても良いと判断するしかない)
交代勤務であれば1日出るだけで約10時間の休日出勤代が稼げます。4日出れば、制限ギリギリの40時間となりますね。
制限ギリギリまで休日出勤を行った場合、3勤3休の勤務体制とすると出勤日数を1月の半分(15日)だとし、休日出勤手当手の係数を1.5とすれば(基本的に休日出勤の手当係数は残業の手当係数よりも高い)、休日出勤の際の時間外労働手当ては
基本給×4日/15日×1.5=0.4
となり月の給料の約40%の時間外労働手当が出ます。
月の給料が20万円なら8万円です。
上記の夜勤と休日手当を合わせると基本給の55%を追加の手当として受け取れます。
また休日出勤の全てを夜勤で出た場合は+7~8%となり合計で62,3%。
つまり、月の給料が20万円であれば、12.5万円ほどを追加手当としてもらえる計算になります。
年1回の昇給が数千円の場合も多いと考えると、破格の手当てとなります。
しかも自分の有給休暇と組み合わせれば、1月の労働時間を変えずに上記の手当てを受け取ることも可能になります。
交代勤務ならではのメリットです。
実際には月に4日休むのは現実的ではないですが、1,2日ほど休むのは可能です。
20~30時間(2,3日)の追加労働でこれだけの手当ては旨味のある方だと思います。
(ただし同じエリアを担ってる同僚との兼ね合いにはなります。)
会社の手当ての計算方法で大分異なると思いますが、少なくとも私の知っている会社では最大で月の基本給の60%を手当として受け取ることは可能となります。
これを踏まえた上で、私が迷いなく万人に半導体工場勤務(交代勤務)を勧めることは絶対にしません
私、個人としては手当ての面などのメリットを考慮しても働く価値はプラスマイナスで少しプラスくらい、40代以上になったら絶対に交代勤務で働きたくありません。
大きな理由としては、体に掛かる大きな負担などがあります。その辺りのデメリットはまた別の記事で書こうかな・・・。
体力に自信のある人や、夜間起き続けることに抵抗のない人などには交代勤務は向いているかもしれません。
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