凄く面白かった。
久しぶりに「いつの間にか、見終わってた」という感覚になりましたね!
グレーテとオリヴィアが徹底的に対比されていたのが面白かったです。
どのように恋をし、愛する人から何を教えてもらい、何を貰ったか。
きっかけからプロセスまで恋の仕方が全く違いましたね。
オリヴィアが屍に惚れたのはつまらない地元では味わえない刺激的なものを感じたから。
田舎で娼婦として暮らしていた彼女が欲していたものは平穏よりも刺激。
圧倒的な力で人を殺してしまう屍に対して、強烈なものを感じ、それを恋と認識しました。
フォレスト・ガンプという凄く有名な映画があるのですが、その映画に出てくるヒロインは素朴な主人公ではなく(素朴だったかな?)、ガラの悪い男の方にばかり流れていき、クスリ漬けになっていました。その映画を父親と見ていた時に、父親が「女の子は刺激を求めるからなあ」と言っていたのを思い出しましたね。それが合ってるかは知らないですけど。
オリヴィアは屍の内面とか人間性とかはどうでもよくて、ただ圧倒的な力で人を殺していくという存在に惹かれて、そんな存在が自分を愛してくれることに酔ってたんでしょうね。
だから、クラウスにやられて無惨にトランクに入れられた屍を見た時に出てきた感情は心配ではなく、「なぜ?」だったんだと思います。
一方、グレーテがクラウスに惚れたのは自分の醜い外見を見て、心の在り方を美しいと認めてくれたから。ありのままの自分を受け入れてくれたクラウスに惚れました。
オリヴィアのように”設定”に惚れたわけではなく、クラウスという人に惚れたため、たとえ無償でもクラウスのために尽くしたいという感情が強かった。
愛されなければ無意味だと考えているオリヴィアに対して、たとえ愛されなくてもその人のために尽くしたい、愛したいと考えていたグレーテ。
この二人が互いに対立していた原因はそこにあったのかなと感じます。
屍は暗殺者としてのスキルをオリヴィアに教え込みました。結局、それは自分の手足として動かしやすいようにしたかったからだと感じます。
理由の一つとして、オリヴィアが屍から教わったことしかやれなくなっていたということがあります。
最後、クラウスからの「お前らは人を殺しすぎた。覚悟はできているな?」という問いの返答が「覚悟なんて教わっていない」ということからもそのことが分かります。自分が死ぬ運命をたどる覚悟を問われた時に相手を罵倒するでも、命乞いをするでもなく、”教わっていない”ですもんね。
自我というものの大部分を屍が奪ったことが分かります。
一方、クラウスはグレーテが自分で考えて動けるように指導していました。作戦立案、その場その場での臨機応変な対応、すべてグレーテ自身が決めて責任を負うような形になりました。これはグレーテにとってかなりの負担がかかりましたが、その分相手の行動に対して自分で考えて対応できるようになります。その柔軟性は、最も人間らしい部分であるともいえると思います
教えてもらったことしかしないオリヴィアと自分で考えて行動を変えられるグレーテ。
人形として扱おうとした屍に、人間として成長させようとしたクラウス
今回はその部分が勝敗を分けていましたね。
屍はオリヴィアの望むようにかなり情熱的に愛していましたね。
これも結局はこのほうが自分の思い通りに動かせると認識していたからだと思います。オリヴィアの方も愛してくれることをご褒美のように認識していましたしね。
屍にとっては、自分の指示通りに動く優秀な手ごまができるなら、愛する真似をするくらいはなんてことはなかったのでしょう。自分が愛を囁けば、相手は今以上に自分に尽くしてくれるのですから。
そのことはクラウスにも言えたはずですが、クラウスはグレーテからの愛を不器用なくらいに真剣に考え、答えを出そうとしていました。むやみに愛を与えることもなく、相手のことを考えてしっかりと真正面から「君の愛は受け入れられない」と言います。
・・・愛を受け入れた屍と、愛を受け入れられなかったクラウス。なのに、どちらが相手のことを真剣に思いやったかはまるで逆なのは面白いですね・・・。
今回、私は相当面白かったんですが、特に入りのオープニング曲が流れるところは良かったですねえ~!!!
クラウスがいない、自分たちは選抜の4人にえらばれなかったと絶望しているところにグレーテがクラウスの声を完全に真似てクラウスからの伝言でリリィたちを鼓舞する場面で流れるオープニング!
超、興奮しました!!!
リリィたちへの伝言の内容も良かったんですよ。
「お前らは私抜きでも協力し合える」というのはなるほど、と思いましたね。
・・・選抜メンバー4人からの対比としても(ボソッ)
でも、リリィたちを元気づけるように必死に弁明していることを、リリィたちに悟られているところも面白かったですね(笑)
最後のグレーテの涙は凄く心に来ました。
一体、どういう意味の涙なんだろうかと。
クラウスは真剣に考えたうえで、グレーテの愛にNOとはっきり伝えます。
自分が求めているのは性愛ではなく家族愛だと。
その上で、グレーテが自分の側にいてくれるなら家族として愛したいと。
・・・なんか、普通にフるよりも残酷なような・・・
そんなクラウスに対して、グレーテは自分のあざだらけの素顔を晒して自分への感想を求めます。
当然、クラウスの答えは「美しい」
その答えを聞いたグレーテは号泣しながらクラウスに抱きしめられました。
・・・この涙は嬉しさなのか、悲しさなのか。
きっと、言葉では表せない感情なんだろうなあと思うと、見てて心が苦しくなりましたね。
映画を見てると、たまにめっちゃ濃厚な内容なのにいつの間にか見終わってたという時があるのですが、今回の11話はそんな感じでした。
EDが流れた時に、「え、もう!?」って思いましたね。
やはり、グレーテとオリヴィアの対比の仕方が見事でしたね。その対比により、グレーテの純愛が際立ったのも凄く良かったです。
このクオリティで好きな原作のアニメを見られることに感謝です!
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