「死は人の完成」と、とあるオッサンが言ってました。
未熟な私にその意味は何となくしか分かりませんが、この短編集3では20も生きなかった少年少女のスパイたちの死をより美しく「完成させた」と思います。
彼、彼女たちが灯と過ごした騒がしい日々を、ほんのり切なく、そして暖かく書かれた短編集となりました。
最初あらすじを読んだとき、
「また、灯と過ごした日々? 前も書いてたじゃん!」
と私は思いました。
甘かったです。
今回は鳳目線で蜜月の日々を具体的に振り返ることで、もう死んでしまうことが確定している鳳のメンバーの想いを噛みしめることができました。
また、灯と比較して鳳のスパイとしての覚悟の違いも表現されていたように思います。
基本的に全員で生き残ることを考えている灯に対し、どこかで死ぬことは半ば予測している鳳。
だからこそ、鳳は灯に対して一緒に暮らす中で、何かを残そうとしているように感じました。
そのことが切なさをより増させた気がしますね。
そして、そんな達観した彼らも灯とバカ騒ぎしているときには年相応の子供なんだというところも見せられて・・・ヤバイ、泣きそう。。。
今までの(ラブ)コメディ寄りの短編集に比べて、比較的シリアスな短編集となりました。
特にアネットが主体の短編集では皮肉が効きすぎたラストがちょっと衝撃的でした・・・。
彼女の出生にもまだ秘密がありそうですね。
そんなシリアスな中で
簡易人間砲弾には読んでて開いた口がふさがらなかったですが。
灯のメンバーは灯として行動するとき、IQが100位下がるよね・・・
最後には蛇の手によって、鳳が壊滅させられた話が具体的に描写されていました。
最後の最期でヴィンドとビッグスが連携して敵に一矢報いる姿は涙腺に来ましたね・・・。
鳳が死ぬことが確定した後に、この物語を読ませるのはひどすぎませんかね!
面白かったけど!
それにしてもヴィンドは格好良かったですね。
最後の「俺たちはスパイだ。情報を――――生きた証を誰かに託して死んでいく」は心に響きました。
本当に惜しい男を亡くした・・・
他の鳳のメンバーもこの短編集で一気に好きになりました。
特にビックスやクノーの男たちはとても魅力的でしたね。
今まで男はクラウスしかいなかったので、この男子たちの活躍が楽しみです!
・・・あ、死んでるんだった!
ハハハハハ・・・・ハァ・・・
今後、どういう展開になるんでしょうか?
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