スパイ教室06 《百鬼》のジビア 感想 予想外の騙しあい 予想通りの裏切り者

スパイ教室

5巻で裏切り者が示唆されたスパイ教室。

相変わらず先の読めない展開と、あまりにも予想通り過ぎて意外だった裏切り者の正体。

物語が混沌としてきて、面白さは加速してきました!

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あらすじ

大ヒット!スパイファンタジー第6巻!

 死亡率九割を超える”不可能任務”に挑む機関―灯―は、尊敬する同胞たちの死の手がかりを求め、同盟関係である工業国・フェンド連邦に潜入する。
しかし、調査に奔走するジビアの前に鉄壁の防諜機関―ベリアス―のボスが立ちはだかる。
『我々に一方的に奉仕する――呑める条件は、それだけです』
”スパイの世界には、協力はあれど友好はない”皇太子暗殺未遂犯を捕えるため、ティアを人質に『灯』は利用されてしまう。
 陰謀と混沌渦巻く中、誰よりも優しい少女は立ち上がる。
『覚悟は決まった――奪われた復讐をするために』
少女たちは止まらない。同胞の死を胸に『灯』が暴れ始める。

ファンタジア文庫 公式
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「灯」と「鳳」の蜜月

5巻でクラウスを賭けて争った落ちこぼれの灯とエリート軍団の鳳。

少年漫画のように爽やかに別れたかと思いましたが、クラウスが訓練をつけるという目的で鳳をアジトに呼び、そこでひっちゃかめっちゃかの交流がありました。

クラウスが鳳を呼んだ目的の一つとして灯のメンバーに基礎的なスパイの実力を身に付けさせること。クラウスは指導者としてはダメダメなのでエリートである鳳に教師役をお願いしようとしたみたいです(笑) その意図を察知し、何気なく灯を指導していた鳳のメンバーは格好良かったです。

また、物語全体の目的としては鳳のメンバーをより詳しく知ってもらうためだと思います。個人的にこの試みは成功したと思います。鳳に対してより愛着が湧き、その大半のメンバーが殺されたことに悲しくなりました。

また、「クラウスの助けになってくれ」というゲルデ婆の言葉がはたされたのも胸が熱くなりましたね。

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お互いに何も信用していない同盟国どうしのスパイ

鳳が全滅したことについて同盟国のフェンド連邦で調査を行う灯。一方、鳳に皇太子暗殺の容疑があると決めつけ、鳳の生き残りであるランを探し出そうとするフェンド連邦の諜報組織ベリアス。

特にそのトップであるアメリは灯を徹底的に利用しようとします。灯のトップのクラウスは規格外だとして、他の少女たちは半人前。そう判断したアメリは自分たちが鳳殺害に関わっていることを隠し、灯をコントロールしてランを探そうとします。

しかし、その時点で灯の手のひらの上だったアメリ

灯は既にランとは接触しており、鳳を襲った組織のあぶり出しに入っていました。それにまんまと引っかかったベリアス。その後の展開は全て灯の描いた通りであり、一人一人と間引きされ最終的にベリアスは全滅。

半人前と決めつけた少女たちの一人であるジビアの「成長速度」を読み違ったことも含めて、この作品の中でも例にない完全勝利を収めた灯。

この巻では出なかった決め台詞だと思いますが、まさに「敵にすらなれない」ベリアスだったと思います。

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実はベリアスに勝利していた鳳

6人中5人が殺されてしまった鳳ですが、実はベリアスには勝利していました。

まず、ベリアスの戦力を半減していたこと。

50人ほどで襲ってきたベリアスをたった6人(一人は奇襲で真っ先に死にましたが)で半数を殺害していました。

次に、ベリアスには殺されていなかったこと

ベリアスに疲弊させられていたのは確かですが、実際に鳳のメンバーを殺したのは帝国のスパイである翠蝶。ベリアスが殺したのは最初の一人、クノーだけでした。

そして、状況を仲間に伝えるためにランを逃がしきれたこと

結局、ランが灯と接触できたことが灯がベリアスに対して勝利できた要因でした。物語の最後で灯から一人でも逃がそうとして全くできなかったベリアスとの対比もありましたね。

このようにほとんどが殺された鳳はベリアスに対して致命傷を与える働きをしており、作中でもあったように灯と鳳の協力でベリアスに対して完勝した戦いでした。

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予想通り「すぎる」裏切り者

このように、あまりにも余裕の完全勝利(鳳は死んでしまいましたが)をした灯ですが、ある一人の裏切り者がいたことで今作の最後に壊滅してしまいます。

その裏切り者とは―――モニカ。今までも他のメンバーに比べて心の内を見せてこなかった彼女が、敵国スパイである翠蝶の横に立ち、他の灯メンバーを蹂躙していきました。

と、衝撃的な最後になりましたが、個人的にはあまりにも予想通り「すぎる」裏切り者であり、まだ何か裏があるのではないかと思っています。

5巻の終わりで灯内に裏切り者が出ることは示唆されており、消去法で考えると真っ先に候補に挙がるのがモニカでした。また、モニカはランとの破壊工作で意味深なセリフを吐いたり、クラウスがモニカの不自然な静かさを疑問に思ったりなど、読者に「こいつ怪しいですよ!」と伝えているような感じさえします。

読者をも騙すことが特徴なこの作品において、あまりにも分かりやすい伏線。逆に不自然に思ってしまいます。

また、本当に鳳に裏切り者がいなかったのかも気になります。

5巻の最後で翠蝶が組織を崩壊させる手段として

「答えは仲間の裏切り。伝説のチームも新進気鋭のチームもこれで滅んじゃうんだ」

と言っていました。このときは鳳を崩壊させた後だと考えられ新進気鋭のチームとは鳳のことだと推測できます。

つまり、鳳にも裏切り者がいたと・・・。それは生き残りのランなのか、それとも・・・。

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皇太子は死んだ?

物語の中で皇太子の殺害事件が、大きく展開を変えた転機になっていました。

しかし、本当に皇太子は死んだのか? 私は死んでいないと思います。

特確証がある訳ではありませんが・・・アネットが「このおじさん、気になります!」と言ったのが妙に印象的なんですよね・・・。

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まとめ

スパイ教室らしい読者をも騙す予想できない展開と、スパイ教室らしくない予想通りすぎる裏切り者の正体。

この作品を読んでいると、物語の展開やキャラに対して疑心暗鬼になってしまいます(笑)。

モニカの真意は?灯のメンバーの安否は?そして、新しいメンバーである炯眼とは?

気になりすぎて早く続きが読みたいです!


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