この演出をやりたいがためにEDをしっとりとしたものにしたんじゃなかろうな・・・(疑惑)
「最強」を壊す
アニメで改めてこの話を見ると、芥見先生が五条に失敗させたいという狙いが見えます。
天元様すら敵に回しても構わないと言っていた五条と夏油は
パパ黒には完敗し、
護衛対象の理子ちゃんは守れず、
何の言い訳もできずに、完全に失敗していますね。
原作でも、この過去編が始まるまで最強すぎて苦戦する姿すら思いつかなかった五条。
夏油の闇落ちとともに、その五条の聖域を崩す流れを過去編で作ろうとする強い意志を感じますね。
五条と夏油に何回も「最強」と言わせてるところも、その最強を崩すんだよという前振りになってますね。このセリフを二人に言わせるところは、他にも狙いがありますが・・・
芥見先生は結構ひねくれたところがあるので、五条悟というイケメンで最強な存在がいることにモヤモヤしてたところもあったんでしょうね。(芥見先生は五条先生苦手そうですし(笑)) 絶対に五条を失敗させてやるという意地みたいなものも伝わってくるような・・・
過去編で五条に失敗させたかったのはこの後の渋谷編のことも考えてだったのかな・・・と後出しでちょっと思います。
淡々と・・・
今回、一番注目されるのはやっぱり理子ちゃんがあっさりと殺されたシーン
アニメ初見派には当然パパ黒への怒りを持つ人もチラホラいましたね。
原作を読んでた当時は、私も何も悪いことしていない理子ちゃんが作業のように殺される理不尽さに怒りで震えましたが・・・今となっては淡々と仕事をこなすパパ黒に感嘆するところもありますね。この人、理子ちゃんを殺す時に罪悪感も、逆に優越感とか愉悦とかも全く感じてないんだろうなあ。
さて、この”淡々”とが呪術廻戦の一つの魅力だと思っています。特に感動シーンや衝撃的な人の死における淡々さ。
普通なら演出を過剰にして盛り上げるところも淡々と
エピソードを盛りに盛れるところもあっさりと
芥見先生は「引き算の美学」と言ってましたが、単純にそこを盛るのが恥ずかしいんじゃないかな? と個人的には考えています。なんとなく、人の愛とか情とかを冷めた目で見ている気がするんですよね。
そこがよく分かるのは理子ちゃんと五条、夏油の関係性。三人は護衛と護衛対象の関係であり、恋愛関係に発展させる絶好の構図・・・ですが、淡い恋心すら感じさせない。その方向に発展していきそうな可能性すら感じさせない。
自分のことで精一杯とはいえ、五条が刺されているのに五条の心配を全くしていない場面は少し物足りなささえ感じてしまいました。
結局、この三人はその程度の関係しかまだ築けなかったということ。
「たった数日一緒にいただけでそこまで仲が深まるわけないだろ」という芥見先生の主張が見える気がするぜ・・・。
この無理して人間の関係性をドラマチックにしようとしない、斜に構えた感じが、逆に作品への安心感を私に与えてくれるように感じます。人との関係を無理やりきれいに描くつもりはないぞ、って。
ひねくれた私には、本当に心地いいんですよね。これ。
ということで、今回はここまで!
スタッフの悪趣味な演出(誉め言葉)も合わさり、アニメでのベストエピソードにもあげられる今回。
理不尽な展開や露悪的な展開は視聴者に拒絶されることもありますが、そこを絶賛されるのが実に呪術廻戦。
悪の部分も淡々と描いているところが視聴者にストレスがあまりたまらずに妙な心地よさを与えるのかもしれないですね。
・・・パパ黒なあ・・・好きなんだけど最低なことは何も擁護できないんだよなあ・・・
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