誰か助けてよー!!!
大体の作品で、こいつが来れば大丈夫という安全地帯のようなキャラがいると思いますが、この作品には、そんな安全地帯は存在せず淡々と人が死んでいきます。戦争のリアルと言えば、リアルなんでしょうが・・・。心が痛いです。
共和国人の諦め
レーナの親友であるアンリエッタが86-エイティシックス-に対して距離を置こうとしていた理由が分かりました。それは子供のころの罪の意識。
アンリエッタは幼い頃に隣に住んでいた86-エイティシックス-の子と仲が良かったのですが、その頃に86-エイティシックス-の迫害が本格化。86-エイティシックス-と仲良くしている自分もいじめの標的とされ、アンリエッタは仲良くしていた子にも辛く当たり距離を取りました。(この86-エイティシックス-の子供ってシン?)それどころか、その隣の家族を保護しようか迷っていた父親に、保護しないように訴えたりもしました。結果、隣の家族は追放されました。この時の罪の意識がアンリエッタをずっと苦しめ、それから逃避するために自分は何をしても86-エイティシックス-を救えないと考えるようになったと感じました。だからこそ、86-エイティシックス-のために行動しようとするレーナが目障りだったのかもしれません。
意外だったのは、迫害の本格化が10年くらい前から始まったと言うこと。結構最近なんだなと思いましたが、よくよく考えれば史実でもヒトラーが政権を取ったのが1930年代前半。そこからユダヤ人迫害が始まり、戦争を通じてのユダヤ人全滅作戦が始まったのが1930年代後半から1940年代前半なので史実から見てもそんなにおかしくないのかー。
また、師団長であるジェロームも86-エイティシックス-迫害を続ける共和国の体制を支持しながらも、共和国を愚民どもの国家と言い捨てました。以前、共和国が滅びるように進んでいるこの師団長は有能なのかということを書きましたが、もしかしたら師団長は共和国がこのまま行けば滅びることをなんとなく予期して放置しているのかもしれません。
また、共和国の方針は86-エイティシックス-の全滅であることも断言しました。今、共和国が行っていることが明るみになれば、各国から非難されるのは必至。であれば86-エイティシックス-を全滅させて歴史から無かったことにしてしまおうと。
と言いたいところですが、私たちの世界でも実際に似たような方針を取った国はいくつかありますね・・・。最近で言えばナチスドイツ。ユダヤ人を全滅させてしまえば、私たちが行ったことは歴史には残らないという言葉が記録に残っているらしいです。(誰が言ったんだっけ?ヒトラー?)
このような狂った世界が、私たちの世界でも起こりうるというのが一番怖いです。
86-エイティシックス-の覚悟
遂に5人だけになったスピアヘッド。そのスピアヘッドに最終命令が下されます。
目標:最終的に進んだ地点
期間:無制限
支援:なし
逃亡:即刻処刑
「死ね」という命令ですね。この命令が下されても、生き残った5人は表面上、穏やかに過ごします。
「少佐…俺達は別に死にに行くのではありません。俺達はようやく自分が行こうと思った所まで行こうと思った道を辿って行けるんです。やっと自由になれる。」
シンがレーナに言った言葉です。この言葉、86-エイティシックス-全体としては解釈が難しいなと思ったのですが、シン個人で言えば羊飼いとなってしまった兄を開放できるというところだと思います。他の隊員に関しては、「最期」まで仲間たちとともに精いっぱい生き残れた終着点というところでしょうか。
また、シンはレーナにこうも言いました。
「ここから東の国境を超えたその先でレギオンの声が聞こえなくなります。誰かが生き残っていれば助けが来るかもしれない」
「羊飼いが討たれればレギオンはしばらくは混乱します。その程度の時間稼ぎはしていきますから。だから…少佐はそれまで…生き延びてください」
共和国軍の目論見ははずれ、帝国のレギオンは攻撃を続けるため、いずれ共和国は攻撃を受けます。自分たちが命に代えて羊飼いを討てば多少の時間稼ぎはできる。だからレーナにはレギオンの攻撃が来る前に逃げてほしい。という風に解釈しましたが、合っているのかな?
まとめ
絶望に向けてひたすら走り続ける物語。
それでも覚悟を決めて、精いっぱい生き続けるスピアヘッドを見ると、惰性で生きている自分に比べて輝いて見えるのは不謹慎な見方でしょうか?
レーナとシンには一度だけで良いから直接会ってほしいですが、どうなるんだろう・・・。
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