ダンダダン 第155話 感想 腐った世界から逃げるか、向き合うか・・・

ダンダダン

頭間と警官の奇妙な共同生活、始まる!

心に傷を負っている頭間を引き取る、見るからに不愛想で不器用な警官

彼らの共同生活は順調に

出典:「ダンダダン」 龍幸伸 集英社

行くわけもなく。

どうでも良いことですが、まさか令和の世でちゃぶ台ひっくり返しが見れるとは思わなかったのでちょっと感動しましたね(なぜ)

その後も、警官を不意打ちしようとする頭間とそれを返り討ちにする警官の構図はしばらく続きます。この辺りはONE PIECEのエースと白ひげの関係を思い出しました。微笑ましい。

微笑ましいと言えば、頭間は警官を不意打ちする際にずっと傘を使ってたんですよね。警官を本当にボコボコにしたいなら金属バットでも用意して襲い掛かればいいのに、武器はずっと傘。

そのせいか、喧嘩というよりはじゃれてるようにも見えました。

・・・まあ、傘も立派な凶器になることもあるので危険ですけどね。(Anotherを思い出す私)

ついには就寝中に忍び込んで、寝込みを襲おうとする頭間。しかし、そこで彼が見たものは妻と娘と幸せそうに写っている警官の写真でした。

頭間はその写真を見て、大人しく自分の部屋に帰っていきます。

次の日の朝。頭間は警官に聞きます。

「家族がいるのに、何故自分を引き取った」と。

警官の妻と子供は既に死んでいました。通りすがりの男に刺されて。

その男は頭間と同じく「社会を憎んでいた」そうです。

警官は今でもそいつを殺して自分も死のうと考えています。しかし、ギリギリのところで、自分を正義のヒーローとして憧れていた娘の姿を思い出してしまいます。

世界はどうしようもなく腐っている。しかし、それに絶望して投げやりになれば、世界はより腐っていき、最終的には人も住めないようになる。

出典:「ダンダダン」 龍幸伸 集英社

頭間も警官もこの世界を憎んでいるのは同じ。負けたくねえと思っているのも同じ。

しかし、頭間と警官ではそこからの行動が違いました。すべてをぶっ壊そうと「逃げた」頭間としっかり向き合おうと「立ち向かった」警官。

この対比は凄く、心に刺さりました。

その後の「辛いこともあるかもしれねえが、優しさや思いやりを忘れるな。丁寧に生きろ」という発言もグサッときましたね。頭間ではなく私に言われている気分になりました。

子供が優しく、丁寧に生きていくために、大人ができることは一つ。

出典:「ダンダダン」 龍幸伸 集英社

・・・この言葉を、いつか本心から子供に言ってみたいですね・・・(しみじみ)

警官の言葉に少なからず響くものがある頭間。

しかし、素直に受け入れることを、彼の凄惨な過去が拒絶します。

「クソな大人たちは親父の死の責任を押し付け合った。」

「学校じゃいじめられた。」

「しまいには母親に殺されかけた。」

「社会が先に俺を拒絶した。」

・・・頭間の言葉で強く感じたのは、予想以上に「母親への怨み」があるということ。

母親が目の前で死んだ、ではなく母親に殺されかけた、と言ってることもそうですし、「父親の死の責任を母親に押し付けた」ではなく、「責任押し付け合った大人たち」と表現している辺り、この大人たちに母親も入っているような気がしました。

・・・逃げたという意味では、母親が先に、最悪な方法で逃げているんですもんね。頭間のうらみも当然か・・・。

あと、頭間の心に強く残っているはずの弟に対する言葉が一切出てこなかったのも気になりましたね。

なんにせよ、この世界を素直に受け入れることはできない頭間。

彼はこの世界とどう向き合っていくのでしょうか。

ということで、今回はここまで!

社会の醜さを押し付けられた少年と、その少年を救おうとする大人。

物語ではありがちな構図ですが、この繊細な関係の表現が見事でしたね。

警官の考えも頭間の考えも凄く共感できて、描写の素晴らしいバランスにもどかしいのに拍手してしまいたくなりそうな美しさすら感じてしまいました。

あと、個人的には毎日しっかりと用意されている朝食が印象に残りました。

出典:「ダンダダン」 龍幸伸 集英社

朝食にしっかりとした和食が用意されていることに、この上ない優しさを感じてしまうのは日本人だからでしょうか。

警官の、頭間への不器用ながらも大きな優しさを、私はこの朝食だけで感じてしまいました。

良いなあ。おいしそうだなあ。

私にも誰か作ってくれないかなあ。(料理苦手な独り身の会社員は辛い。。。)

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