ダンダダン 第153話 感想 1話で語られる頭間家の絶望

ダンダダン

明かされる頭間の過去。

私は、前回の最後にオカルンの頭の中に出てきた兄弟のうち、弟のほうが頭間じゃないかと思いましたが、どうやら頭間は兄のほうだったようです。・・・正確にはどっちも頭間ですが。

さて、回想の初っ端からあれですが、頭間の父親は仕事の過労によって亡くなってしまったようです。

頭間兄弟の目の前で、怒りに震える母親と責任逃れをする会社との醜い会話が繰り広げられてました。

出典:「ダンダダン」 龍幸伸 集英社

子供の前で話す無いようじゃないよ・・・

母親の後ろで、頭間が傘ではしゃいでる弟の耳をふさいでいたのが痛々しかったですね・・・。

頭間がこの時の年齢で、この話の内容を理解できたとは思いませんが、お母さんが虐められてることは分かったんでしょうか。

大黒柱が無くなり、家賃も払えないような状況になった頭間のお母さん。大家にも金が払えないなら出ていけと言われてしまいます。この世に救いはないのか・・・。

あと、余計なツッコミですが、頭間のお父さんの会社とのやり取りを見る限り、頭間のお父さんは勤務中に亡くなってるみたいなんですよね。その場合、どんな状況だろうと会社が金銭を支払う義務があったような・・・。ま、いいか。

閑話休題。

頭間の弟は少し変わった子で、普通の傘をずっと持ち歩き、晴れの日でも傘を差しながら楽しそうにしていました。もちろん、「変わった子」は周りのいじめっ子からの格好の標的で、頭間の弟は虐められます。しかし、そんな弟を助けていたのはお兄ちゃんの頭間。華麗な喧嘩テクでいじめっ子たちを追い払います。

あの家庭環境で、頭間の弟が常に笑顔だったのはお兄ちゃんのおかげもあったんでしょうね。

しかし・・・

出典:「ダンダダン」 龍幸伸 集英社

時に神様はいじめっ子よりも性格が悪いです。

大事な傘を雨風に飛ばされた頭間の弟。

おそらく、その傘が川に入り、それを取り戻そうとして自身も・・・

頭間も必死に追いかけますが、時すでに遅し。頭間の弟は遺体となって川から引き上げられました。

父親に続き子供も亡くなってしまった頭間家は悲しみに打ちひしがれます。

ですが、ある日、母親は頭間を連れて遊園地へと出かけます。

お金に余裕がないはずなのに、遊園地で目一杯遊ぶ母親と子供。

楽しい乗り物に、美味しいスイーツに、キレイな花火。年齢にそぐわない精悍な顔つきをしていた頭間少年は年相応の無邪気な顔をして楽しみます。

なるほど! 最悪な状況で逆にふっ切れて、お母さんも前向きになったんですね!

良かった!良かった!

・・・ああ、良かった・・・

ハッピーエンドで終わったのでまだページに残りはありますが放置しておきましょうかね。うん。

・・・はい。そういうわけにもいかないので最後のページを見てみましょうか。

出典:「ダンダダン」 龍幸伸 集英社

・・・知ってた。

頭間を道連れに無理心中を図る母親。

頭間が必死に抵抗する中、母親の手が頭間から離れ、母親の体だけが電車の前へ・・・。

・・・・・・

頭間は1話で独りぼっちになってしまいました。

ということで、今回はここまで。

今回の話を読む前から予想はついていましたが、やっぱり朝から鬱になってしまいましたぜ・・・。

ダンダダンは人間の絶望を描くのが上手いなあと改めて思いましたね。

子供と一緒に死のうとする母親は、傍から見てると狂気そのものなんですが、その狂気に共感してしまう自分がいました。死ぬ覚悟ができているから、残された息子と遊園地で思いっきり遊ぶことができたというのも、何となくわかる気がしますね。

そして、頭間がこの世界を破壊したいという衝動を抱えている理由の一つも分かりました。

しかし、前も書いたように、頭間は表向きにはその衝動を出そうとはせずに割と理性的だった気がします。(不良は不良ですが)

そんな頭間になった理由が、次の話では語られるんでしょうか。

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