「不器用なキャラたちの心の居場所つくり」門番少女と雨宿りの日常 1巻 感想

門番少女と雨宿りの日常

はい。私も碧木君と……またお昼を一緒に食べたいです!

いじめとかは論外として、人間関係で居場所が作れない人にとっては学校は本当にきついと思います。自分は学生時代、人が自分に向ける感情に鈍感だったのでまだ学校には行けましたが、社会人になった自分がもし学生時代に戻ったとすると多分学校には行けてないと思います。飯も基本的に一人でしたし、休み時間もひとりで過ごすことが大半。そんな中で、共同生活を強いられていたと思うとぞっとします。

この作品は家庭でも学校でも居場所がない主人公とヒロインが、互いに自分の居場所を求めていく物語。すごく暗い話ではないですが、心のどこかに針をちょんちょんと突っつかれていくような感じになりました。

おススメ!

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あらすじ

”普通”になれない二人が見つけた、青春の雨宿り先

家にも教室にも居場所のない元不良の碧木が出会った、1学年先輩の雨森。世の中に馴染めない二人は、閉鎖された屋上前でひとときを過ごし、心を通じ合わせていく。第33回ファンタジア大賞入選作の青春グラフィティ

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個性強めの登場人物

URL:https://fantasiabunko.jp/special/202106monban/

日常ものの物語ですが、「こんな特徴的な人、そうそういないぞ!」という登場人物ばかりでした。

主人公 碧木照

外見 コワモテ。口調 荒々しい。ライトノベルの主人公としては珍しい感じの人物です。

ぱっと思いつくのは「とらドラ!」の竜児

とらドラ!』高須竜児(たかすりゅうじ)の名言・セリフ集~心に残る言葉の力~
「tと

しかし、竜児が顔が怖いだけで優しい優等生だったのに対し、照は遅刻はするわ口調が乱暴だわで不良と言われても仕方ない振舞いをします。

ただ、本人は不良ぶるつもりは全くなく、ひたすらに人間関係が不器用なだけ。家庭にも学校にも居場所がなく、心の底で常に自分の居場所を求めています。


ヒロイン 雨森心

照の一つ上の先輩。昼休み、放課後と生徒に解放されていない屋上前の扉の前で一人レトロゲームをする美少女。

人との間に壁を作り、無表情に拒絶をします。しかし、その仮面が外れると少し、いや大分人とはズレている精神年齢幼い女の子になります。

照と少し話すようになると先輩としてアドバイスをしようとしますが、そのアドバイスが不適当すぎて、照に自分も人付き合いが苦手なことがバレます。

照と同様、家庭にも学校にも居場所がないヒロインです。


他に、優等生の人気者なのに空気を読まずひたすらに照に絡む女の子や、ただ皆が楽しければいいという理由で思い切った方向に行動力がある生徒会の手伝い、よく分からない方向にカッコつけたがる生徒会長など個性豊かな登場人物が多かったです。

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人付き合いの繊細な部分

URL:https://fantasiabunko.jp/special/202106monban/

この作品の登場人物に、精神的に大人で本当に優しい人物はいません。良かれと思って行動したことも相手にとっては迷惑だったり、自分よがりな行動も多いです。

一見、空気読めてない人ばかりな登場人物。しかし、そんな彼らの不器用なところや年相応の精神年齢・人付き合いの拙さに逆に感情移入がしやすかったです。

特に、主人公の照の人付き合いで嫌なことがあったら逃げ出す癖は凄い共感できました。ちょっと齟齬があると、コミュニケーションを取ること自体がしんどくなってくるんですよね・・・。

あとは、孤独な自分に対する奇異な目線(半分、自意識過剰)。

あれはツライ。本当にツライ。・・・いや、マジでツライ。

このように、いじめとか大きいイベントがある訳ではないですが、学校という閉鎖された空間で地味にキツイことを細かく描写しているのもこの作品の特徴かなと思います。

そんな孤独感にさいなまれた照と心が最後には互いの居場所になろうとする、なっていくところがちょっと感動しました。・・・自分にはそんな居場所なかったなあ・・・はははは。

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まとめ

癖が強いかもしれない作品で、主人公も一般受けするような主人公ではないかもしれませんが、登場人物の純粋な部分がむき出しになっているようなところが私はとても好きです。

これだけ個性的な人物を出して、人付き合いの繊細なところを描写できるのは本当に凄いなと思いました。

勝手な考えですが、人付き合いで苦労した(している)人には色々と刺さる作品かもしれません。

      


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