黎の軌跡 段階的に仲間が増えるというRPGにとって「普通」のシステムは軌跡シリーズに合っていたのか?

黎の軌跡
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軌跡シリーズで仲間の加入システムは独特なものとなります。

RPGでは物語が進むごとに仲間が増えていくのが普通ですが、軌跡シリーズではそのシステムを採用することが無かったです。(空の軌跡The3rdは別)

しかし、今回の黎の軌跡ではその「普通」のシステムを採用。

この「普通」は軌跡シリーズには合っていたのか?

過去シリーズのシステムも見ながら、私の意見を書いていきたいと思います。

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過去シリーズでのシステム

最初の空の軌跡からかなり異質な仲間加入システムとなります。

https://www.falcom.co.jp/ed6/

主人公のエステル・ヨシュアの二人が基本メンバーであり、他のパーティメンバーは二人が訪れる各地方で加入、その後二人が他の地方に移る際には離脱すると言った形で常に同行するわけではありません。一番最後の王都には全員が集まりますが、逆に言えば王都以外でパーティメンバー全員が集まることはありませんでした。

次の零の軌跡は始まりから終わりまで一括4人パーティのこれまた異例なシステム。

https://www.falcom.co.jp/zero_psp/character.html

章によってはゲストキャラも加入してくれますが、基本的にはこの4人がずっと行動を共にします。4人パーティ自体も人数的に少なくて珍しいですが、最初から4人パーティで始まるのもかなり珍しい感じがしました。

そして閃の軌跡は空の軌跡と零の軌跡のハイブリッドのようなシステム

https://www.falcom.co.jp/sen/chara.html

パーティメンバーは基本的に9人(途中加入も含めれば11人)と大所帯。学園のクラスの仲間ということで零の軌跡同様、物語の開始時点で全員が揃っています。しかし、あくまで主人公のリィンが行動の中心であり、各地方に課外活動に行く際にメンバーが変わっていき順々に仲良くなっていきます。

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個々のシステムでの利点

空の軌跡では物語上、エステルとヨシュアの絆が最重要であり、そういう意味ではあくまで二人を中心とした仲間加入システムは二人に重点を置くというところで、物語にマッチしたシステムでした。

http://www.sora-evo-fc.com/new_features/new_features-1.html

零の軌跡では特務支援課という特異で新進の警察の組織に注目する物語であり、その課の発足から成長、そして周りに認められる過程の苦楽を共にするという点で物語の始まりから終わりまで同じメンバーだったのは合っていたと思います。また、ゆっくりと仲が良くなっていく過程を見られるのも良かったですね。

https://www.falcom.co.jp/zero_psp/character/character_05.html

閃の軌跡では学生モノというジャンルを重視していきたかったのかなと。学校生活を中心とするゲームで段階的に仲間が増えていくのはおかしいですし、特務支援課のように少人数でのパーティもクラスという感じがしない・・・。最初の時点でメンバーをドカッと出し、各章で注目するメンバーをピックアップすることで学園ものとしてクラスが徐々にまとまっていく感じを出したかったんだろうと思います。システムとしての選択は正解だったんじゃないかなと感じました。

https://www.falcom.co.jp/sen/system/system01.html

このように各シリーズの物語・設定の特徴を活かすために特異な仲間加入システムを採用したと思われます。

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黎の軌跡で「普通」を導入したことによるメリット

このように普通とは違う仲間の加入システムを採用してきた軌跡シリーズですが、黎の軌跡では逆に段階的に仲間が加入していく普通のシステムを導入しました。

各章で基本一人ずつ仲間が増えていくシステムですね。

これはヴァンという孤独に裏解決屋をしていた主人公に徐々に仲間が増えていく過程を見せていきたかったんじゃないかなと思います。ヴァンは自分の抱える闇に周りを巻き込みたくないと、幼馴染のルネやエレインから離れていった過去があります。そのように自分の周りから人を遠ざけようとする主人公に無理やり押しかけてくる仲間が一人一人と増えていくことで、ヴァンは孤独じゃなくなったということを印象付けたかったのかなと。

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最終的には独りよがりに自己犠牲で消えようとしたヴァンを仲間たちが強引に救いに行く展開に持っていくための布石にもしたかったのかなと勝手に思ったりもしています。

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デメリット

物語的には徐々に仲間が増えていくシステムは合っていたと思いますが、軌跡シリーズというゲームの特徴的には合っていなかったかもしれません。

その理由としては後半に入ったメンバーの印象がどうしても薄くなること。軌跡シリーズは細かいところまで丁寧に作りこむのが特徴であり、そのため一つの事件、一つの地方に行くだけで膨大な量のプレイ時間が必要となります。つまり大きなイベント数や(軌跡的には)章数を多くすることはできず、後半で入ったメンバーはどうしても少ないイベント数となってしまい、前半で入ったメンバーと比べて印象が薄くなってしまいました。同じような問題はペルソナでもありましたが、あちらはユーザーの選択により後半に入ってきたメンバーと多くの個人イベントを集中的にこなすことができたのでまだマシな印象があります。

後半のメンバーの印象が薄くなる他の理由としてはメインメンバーの会話にリソースを置けないことがあるのかなと。軌跡はサブキャラクター、何ならモブキャラクターとの会話も気合を入れて作りこんでいます。なので後半から入ったキャラクターとの会話イベントを意図的に増やすということがあまりできず、初期に入ったキャラと後から入ったキャラの会話の数には明らかに違いが出ていました。

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同じパーティメンバーでコネクトイベントの最大好感度レベルに差があるのもどうかと・・・
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個人的な意見

個人的にはヴァン、アニエス、フェリ、アーロンの4人メンバーで固定する、もしくは空の軌跡のようにヴァンとアニエス以外は各地方のお助けキャラにしても良かったのではないかなと思います。

特に後者になるとヴァンという主人公に対するアニエスの役割が大分重いものになってしまうと思いますが、どうせそれ以上に重い元カノがいらっしゃるので丁度良かったんじゃないかと

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むしろ、恋愛のライバルとしてあまりにも強すぎるエレインに対抗するためにもアニエスとヴァンの関係性を深くして、もっと湿度の高い三角関係にしても良かったんじゃないかと思います・・・ハイ、個人的趣味丸出しです。

それはともかく、リゼット以降のキャラの深堀が微妙だったのは確かに感じました。続編で深堀すればいいと言えばその通りですが・・・パーティメンバーよりも姫辺りがヴァン周りに食い込んできそうな気がするんだよなあ(笑)。

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