以前にテイルズオブアライズは何故変革が必要になったのかという記事で、ゼスティリアの失敗があるという記事を書きましたが、
じゃあ、何を目的にしてどう変わったの?という部分の考察が詳細にはできていなかったので、2019年の富澤プロデューサーのインタビューをもとに考えていきたいと思います。
結論から言えば、テイルズオブユーザーの新規獲得が目的となり、ゲームデザインをよりリアルな方向に変えたのだと考えます。
アライズの商業的な目的
アライズの大きな変革自体はゼスティリアの失敗が大きく影響しているんだと思います。
(ゼスティリアの失敗で馬場プロデューサーが辞めざるおえなかったのは、おそらく事実)
ただ、今回のアライズで大きく変えないといけなくなった土壌はゼスティリアの前から既に出来上がっていたと考えます。
その土壌とは、迫られた市場の拡大。
2000年代のテイルズはRPG作品としては異例なほどのペースで新作を開発。グラフィックなどの技術はFFなどに劣りながらも、国内の安定した人気に支えられ、国内市場の売り上げだけでシリーズの継続・発展を続けられてきました。
しかし、ゲーム開発が複雑化し多額の費用が掛かるようになると国内市場だけで賄うことは困難になり、新規参入者を増やすか、海外で大きく展開するかといった市場の拡大を迫られてきました。
馬場プロデューサーの時から、そこを目標に新作を開発していたような感じはしますが、結果的にはあまりうまくいかず。
富澤プロデューサーは本格的に市場の拡大を目指し、テイルズオブシリーズに大変革のメスを入れることにします。
過去シリーズの伝統と決別
馬場プロデューサーも市場の拡大には着手しており、大物歌手の抜擢やアニメーションに力を入れるなどプロモーションを強化。シナリオ面では、より複雑な設定や展開、深いメッセージ性を入れてこれまでよりも雰囲気を重くすることで幅広い年齢層を狙いました。
しかし、これまでのテイルズの伝統は捨てられず、伝統と新しい変化とのずれが大きい作品も出てきます。
テイルズの伝統である短い時間でのゲーム開発の中で複雑なシナリオを練りこむのに限界があったようで、矛盾する展開や雰囲気が合わなかったりする作品もありました。(個人的にはエクシリア)
また、アニメーション絵を使ったスキットなどで見られる軽いおふざけや雰囲気の軽い敵、現実感のないフィールド。これも雰囲気を軽くする方向に持って行ってしまい、ゲーム上の重い展開と矛盾していたように感じることもしばしば。
上手くいった作品もありましたが、そうでない作品もあり、再現性があまりないゲーム開発となってしまったテイルズシリーズ。市場の拡大が上手くいかない中で、テイルズが長年培ってきた伝統が新規参入者のハードルとなってしまったようです。
これは富澤プロデューサーのつぶやきからも分かります。
本当に有難いことです。
— 富澤ユースケ@9/9TOアライズ発売 (@tommy_feb_26) August 20, 2021
ここ数作、新規参入が一桁台だった事実は、テイルズブランド責任者として私がアライズを企画する強い覚悟、背景としてありました。
他にもブランドロゴを作ったり、過去作を再編成したり、全てはブランドとしての未来を一緒に作り出すために。#TOARISE https://t.co/vftSsMX425
そこで、富澤プロデューサーは新規参入者へのハードルとなった伝統と、その伝統と変化の差が大きくなったことで生まれた矛盾を解決するべく、ゲームへの没入感をコンセプトにアライズを開発。
没入感を求めるために、伝統を捨てる覚悟を決めます。
伝統を捨てたテイルズ
重いシナリオへの没入感を高めるために行ったこととしてまず、フィールドの世界観をガラッと変えました。
また、キャラの頭身も上げます。
そして、敵キャラクターをより野性味のある危険なキャラクターとします。
他にもテイルズの大きな特徴であるキャラクター同士の会話劇、スキットを3Dモデルで表現。
重いシナリオに合うように世界観の表現を重くしていきました。
表情やモーションもよりリアルにするなど、2次元的なアニメーション志向だったこれまでと大きく変えていきます。
これらは没入感を上げるためはもちろん、テイルズの伝統となってしまった癖の強さを無くすことによって、新規参入者も増やしたい狙いがあります。
発売前の反応を見ると、この狙いは今のところ当たっているように見えます。
まとめ
アライズの変革は海外や新規参入者を狙った者には間違いなく、今のところユーザーの反応も上々、個人的にも好きな方向への変化となっています。
しかし、成功したかどうかは発売後の評価、売り上げ、またこの路線を続けていくのかで決まると思います。
大きな変化をもたらしたアライズがどのように評価されるのか、注目です。
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