「君って私のこと好きなんでしょ?とりあえずお試しで付き合ってみる?」 感想

GA文庫
著 望 公太
イラスト 日向あずり
「とりあえずお試しで付き合ってみる?」

男子なら学生時代、綺麗な先輩に可愛がられたいという願望が少しは
あったんじゃないかと思います。
私もありました。綺麗な先輩にひょんなことで出会って気に入られて
そこから付き合って・・・と妄想しまくりました。
まあ、女子とまともに話もできなかったので、それ以前の問題でしたが。

今回紹介するライトノベルは、そんな綺麗な先輩が陰キャな主人公と             お試しで付き合い、滅茶苦茶からかっていくという物語
先輩のからかい方も可愛いかったですが、私としては
主人公の過去のトラウマの話が面白かったです。

個人的な作品の特徴は
・テーマは先輩ヒロインが主人公をからかいまくる
・過去回想と現在の話が繰り返される。
です。

以下、ネタバレありです。

黒矢宗吉(主人公)
「付き合うという行為は(中略)もっともっと衝撃的で劇的だと思っていた」
理屈っぽい、本人曰く「陰キャ」
私の印象では、よく言えばひねくれ切れていない、悪く言えば子供な主人公で
私個人が精神的に大人な主人公が好きなので、あまりハマらなかったかなと。
また、からかいものの魅力の一つに反撃した際のヒロインの反応があると思いますが
宗吉の反撃の際の暴走の仕方が突然で、あれ主人公ってこういうキャラだっけ?と
少し置いてきぼりになりました。
ただ、トラウマであるデビュー作の話は背筋がゾクゾクしました。
トラウマ回想の導入である自分のデビュー作を本屋で見つけた時の
「へえ」
「驚いた」
の反応や、厚木という編集者の一方的な長文。
読んでいて何か嫌な予感をひしひしと感じました。
ただ、このトラウマが付き合う時点ではある程度解決していたので
テーマである先輩とのお付き合い中にあまり関わってこなかったのが個人的に残念でした。

白森霞(ヒロイン)
「私にとって面白い本を決めるのはー私。」
学校の美少女四天王の一人であだ名は「人妻」
・・・いや、人妻ってあだ名は無いだろ、絶対女子間でいじめられるぞ
とちょっと思いました(笑)
彼女のからかいが本作品の主題ですが、前述の通り宗吉が子供っぽいことから
弟を可愛がっているように見えてしまいました。
もし好きかどうかわからない状況であれば本当はどう思っているのだろうと
考察しながら読めましたが、
物語の最初から付き合っているので、そこのもやもやもなく、
「本当に男として好きなんだよな?」とちょっと違和感を感じてしまいました。
ただ、不意打ちで「私も大好きだよ」は、文章で描写されていない
宗吉に見えないところで恥ずかしがる先輩との挿絵とともに結構キタ。
「どうだ、まいったか」もキタ。
・・・文句言う割に結構白森先輩にやられてるな、俺。
あと読書という行為の大切さを周りと共感できない話は先輩への好感が増しました。
大好きな読書を優先したいけど、周りとの付き合いのために優先できないという悩みは
読書が好きという部分とコミュニケーション能力があるという部分をもつ
白森先輩特有だなと思いました

読者が知らない二人だけの記憶
 物語の初めの時点で二人は知り合ってから大分経っており
 読者が知らない二人だけの記憶が多くありました。
 その中でも「去年の文化祭」は内容がほとんど語られなかったのですが
 ここを知らないと宗吉の物語後半の暴走・長い独り言は
 中々私には受け入れられないかな~と感じました。

デビュー作のトラウマ
 小説投稿サイトの作品を厚木という編集者が青田買いし、
 ろくに改稿もせず「数うちゃあたる」で当たった作品のみ
 続編を出して当たらなかった作品(作者)は捨てるという
 WEB作品というものが出てきたからこその被害を宗吉が受けていました。
 描写が凄くリアルで現実で本当にあるんだろうなと感じました。
 ここから宗吉が白森先輩と出会って生のファンの応援を聞いて
 立ち直るところがすごく綺麗にまとまっているのですが・・・

 前述のとおり、現状の付き合った後の関係にはほとんど影響がないので
 そこが個人的に残念でした。

まとめ
美人な先輩がからかってくるイチャイチャと主人公の作家デビュー時のトラウマの
2つの話で大きく分けられていたように感じました。
個人的にはシリアスなトラウマの話が好きでしたが、
イチャイチャも先輩と主人公の反応がどちらも可愛く、
からかい系が好きな人ならぜひ読んでみていただきたです。

ただ、過去回想(トラウマ払しょく)と現在(お試し付き合い)が
それぞれの話で完結しているため、物語としての繋がりがなかったのが残念だなと
個人的には思いました。
物語のラストでは、白森先輩が「早くメロメロにしてほしい」と語っていたので
そこを期待しながら次巻を読みたいと思います!

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