「自分の存在する意味とは?」キミの青春、私のキスはいらないの? 1巻 感想

キミの青春、私のキスはいらないの?

「高校生でキスしたことないなんて、病気じゃない? (笑)」

私は最初、この作品の主人公があまり好きではなかったです。物事を一面的にしか見ず、周りを見下し、自分は正しいんだと思い込む。子供すぎやしないかと思いました。(いや、高校生は子供なんですが 汗 )

しかし、物語が進むにつれて主人公の抱えている葛藤、心の底の欲求、本心の叫びを知り、この主人公が好きになりました。ラブコメというよりは思春期にある「自分の存在する意味とは」という悩みを深く掘り下げるための主人公とヒロインの交流という感じを受けました。

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あらすじ

高校生にもなってキスしたことないって病気じゃない?

完璧主義者を自負し、医師を志す俺、黒木光太郎は苦悩していた。
完璧な人生にはキスが必要なのか……いや、恋愛もキスも俺を惑わせるものに違いない!

そんなときに出会ったのは「誰とでもキスする女」と噂される同級生の日野小雪。ひょんなことからこいつと、「ある勝負」をすることになったんだが――

「ね、チューしたくなったら負けってのはどう?」
「ギッッ!?」
「あはは、黒木ウケる――で、しちゃう?」

誰がキスなんか! と思いつつ。俺は目が離せなかったんだ。俺にないものを持っているはずのこいつが、なんで時折、寂しそうに笑うんだろうか。

――非リア、ヤリチン、陰キャ、ビッチ。
この世には「普通じゃない」ことに苦悩する奴らがいる。
だが――それを病気だなんて、いったい誰に決める権利があるんだ?

全ての拗らせ者たちに処方する原点回帰の青春ラブコメ!

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特長:自分の存在意義を探す物語

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思春期特有の自分の存在意義への答えを、深く考えていくところが特徴かなと思いました。

主人公の黒木は完璧主義者でありながら勉強以外のことができないことに対するコンプレックスで、人生に不必要(恋愛など)なことを無意味なものだと感じ、人生において意味のあることしかしない完璧な生活を求めていました。

一方、ヒロインの日野はある出来事がきっかけで全てのものに意味を問うことをあきらめ、自分も含めた全てのことを無意味だと判断し、半ば投げやりに生きていました。

正反対の二人ですが、心の底にあるのは自分を意味ある存在だと認めたいという自己肯定感の欲求。黒木はそれを求めるために自分に関係が薄いものを無意味だと判断し、日野はそれを諦めるためにすべての者が無意味だと判断しました。

自分が意味ある存在なのか。それを認めるためにはどうすればいいのか。お互いに過ごす楽しい時間がその答えとなっていきます。

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魅力:泥臭いボロボロの青春

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青春といえば一般的に友達、恋人と楽しく過ごし、心の底から信頼しあい、時には辛いことも一緒に乗り越える絆を育むことを言うのでしょうか?

私自身はべたな青春が苦手です。何となく嘘くささを感じてしまうからです。ひねくれた人間です。

黒木たちは物語の後半に青春っぽいことをしていますが、青春がしたくてしようとしているわけはなかったです。自分たちが生きている意味を、相手と一緒に過ごした楽しい時間を、そしてその相手を、否定したくなくて必死に訴えることが青春ぽくなってしまっているという印象を受けました。

爽やかさというよりは泥臭さを感じ、美しいというよりもっと必死な何かを感じました。だからこそ、ひねくれものの私にも登場人物の真っすぐな感情が伝わり、どのキャラクターも読み始めの時より好きになりました。

泥臭さはキャラクターのセリフにも表れてて、特徴的で表現豊か、もしくは論理的で無駄のないセリフが求められるのが一般的だと思いますが、この作品では何もまとまっておらず、同じ言葉を必死で繰り返すことが多かったです。こういうセリフに噓偽りのないキャラの心情が直接私の心に訴えかけてきました。

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考察? 「病気」とは?

「高校生でキスしたことないって、病気じゃない?(笑)」というツイートから始まった物語。

モテない男代表として、このツイートに対して反論したいことは山ほどあるのですが!!

それはともかく、この話題は登場人物たちに「病気ってなんだ?」という疑問を投げつけます。その一つの答えとして「医者が判断すれば」というものが出てきました。つまり、第3者が、世間の大多数が病気だと判断すれば、それは病気なんだと。

黒木は昔から周りとの判断基準が違うことに悩んでいました。友達と騒ぐことを楽しいとは思えない、何の意味のない会話をすることが楽しいとは思えない、俺はおかしい。それを人生には必要のないことだと思うことで否定してきましたが、日野と過ごし、日野の考えていることが分からなくなったことで、また自分のことを肯定できなくなりました。人の気持ちが分からない俺はやはりおかしいのではないかと。

私としては、周りが人と違うことを「病気」と指摘すれば、それは病気なのかなと思います。私も人間関係という点では人とはまるで違う価値観を持っています(黒木と似たような感じ)。私も自己肯定感の少ない人間なので、それを自分の特徴だなんて胸を誇っていえません。しかし、今回の人とは違うキャラクターたち、黒木・日野・霧山・オタコンたちのことは好きになりました。「病気」だからといって、その人を認められないと言うことではないのかなと思います。

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まとめ

最初、黒木をあまり好きになれないと書きましたが、多分自分の学生時代と似ていたからだと思います。もちろん黒木ほど頭が良かったわけではありませんが、自分の価値を示すためには学校の成績でしか表現のしようがなく、大分ひねくれた人間だったと思います。(今は変わったのかという質問はNG)。そんな私に比べて、自分の存在意義への答えを出した黒木は凄いなと感じました。

今回で互いの存在を認め合った黒木と日野。続きが出るとすれば少しラブコメ的に展開するのでしょうか?個人的に、黒木と日野は男女の仲を飛び越えて、もっと深い関係になってしまったような気がするので、今からラブコメにするのは難しいのではと感じます。


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