テイルズシリーズの馬場プロデューサーというと、どうしてもゼスティリアの失敗が目立ってしまいます。
(私もゼスティリアの失敗を記事に上げていますし)
しかし、2010年代初頭に、DQ、FFの影が少し薄くなったところで「日本3大RPG」の一つとして知名度を上げたころや、また3Dでのバトルシステムを進化させていった頃も馬場プロデューサーの時代です。
そこで、今回は馬場プロデューサーのテイルズシリーズでの経歴や、功罪の部分をまとめ、シリーズの中でどういう役割を担ったかを考えていきたいと思います。
経歴
wikipediaから引っ張ってきた経歴が下記になります。
テイルズ オブ ジ アビス(2005年12月15日、PS2)スペシャルサンクス
wikipedia
テイルズ オブ デスティニー(2006年11月30日、PS2)ディレクター
テイルズ オブ イノセンス(2007年12月6日、DS)プロデューサー
テイルズ オブ デスティニー ディレクターズカット(2008年1月31日、PS2)プロデューサー
テイルズ オブ リバース(2008年3月19日、PSP)プロデューサー
テイルズ オブ シンフォニア -ラタトスクの騎士-(2008年6月26日、Wii)統括プロデューサー
テイルズ オブ ヴェスペリア(2008年8月7日、Xbox 360)ブランドマネージャー
テイルズ オブ グレイセス(2009年12月10日、Wii)プロデューサー
テイルズ オブ エクシリア(2011年9月8日、PS3)プロデューサー
テイルズ オブ エクシリア2(2012年11月1日、PS3)プロデューサー
テイルズ オブ ゼスティリア(2015年1月22日、PS3 / PS4 / Windows)プロデューサー
テイルズ オブ ベルセリア(2016年8月18日、PS3 / PS4 / Windows)『テイルズ オブ』シリーズIP総合プロデューサー
本当はもっと細かいですが、主な部分だけ。
アビスの時からテイルズシリーズに関わり、イノセンスからプロデューサーとなりました。
据え置き機のタイトルで言えばグレイセスからプロデューサーとなり、ゼスティリアまで6,7年ほどプロデューサーを務めたことになります。
馬場プロデューサーが行ってきたこと
タイトルごとに新規の試み
特にエクシリアからですが、
エクシリアでは、主人公とヒロイン、双方の目線からのゲームを楽しめるダブル主人公
エクシリア2では、主人公にセリフを与えずプレイヤーに選択させる。
ゼスティリアでは、(完全に失敗しましたが)プレイするまでヒロインが誰か分からない、予測のつかないストーリー
ベルセリアでは、テイルズシリーズ初となる女性主人公。
タイトルごとにテイルズシリーズとしては異例の試みを行ってきました。エクシリア2のようにそれが大成功することもあれば・・・ゼスティリアのように失敗するケースも。
海外へのアピール
2000年代は日本市場だけでまかなえていたこともあり、海外への戦略はおざなりになっていましたが、馬場プロデューサーのころから海外でも売り出していくことに。
ただ、このころは海外でのプロモーションに力を入れるくらいになっています。
プロモーションへの力の入れ込み
元々、主題歌やOPアニメが注目されるテイルズですが、馬場プロデューサーはここに大きく力を入れます。
エクシリアの時には、主題歌を浜崎あゆみさんが担当。アニメーションは今や鬼滅の刃で一般の人にも有名になったufotableに任せます。
これによりOPアニメの質が格段に向上。
上記も含めたプロモーションの力の入れようにより、エクシリア以降発売前にテイルズ作品が話題になることが多くなりました。
伝統の引継ぎ
今までのテイルズシリーズを伝統も引き継ぎます。
主要タイトルはほぼ1,2年のハイペースで新作を出し続け
アニメーション絵を基本にした世界観も受け継いでいきました。
(そこに限界を感じ、変えようとしているのがアライズだと勝手に思っています。)
功罪の功
馬場プロデューサーが成し遂げたことの一つといえば商業的なエクシリアの成功。
エクシリアは出荷本数100万本、売上本数67万本と大成功を収めました。
この要因としては、上記にも述べたようにOPアニメの質を上げたなどのプロモーションの成功が考えられます。
当時、ニコニコ動画でエクシリアのOPアニメがすごい勢いで再生されたのを私も覚えています。
次に、ネット上で「日本3大RPG」の1つとして挙げられるほど知名度を上げたこと。
これに関しては、FF13の評価が芳しくなかったり、DQはそもそもPS3やWiiなど据え置き機で新作を出さなかったりなど、FF・DQの評価が落ちたことへの皮肉が一番影響していると思いますが、
ヴェスペリア、グレイセスでの高評価や主にプロモーションによるテイルズシリーズの知名度の向上も影響していると思います。
最後に3Dバトルシステムを進化させたこと。
グレイセスでバトルシステムが高評価され、その後も、開発スパンが短いながら、ユーザーを満足させるバトルシステムを進化・構築してきました。
功罪の罪
やはり外せないのは、ゼスティリアにおける失敗
どう考えても失敗するリスクの高い、ヒロインをミスリードするというプロモーションを取ったことは、馬場プロデューサーはもちろん当時の開発陣は責められても仕方ないと思います。
次に、個人的に地味に大きかったと思うのはプロモーションが成功したエクシリアでゲームの評価を落としたこと
この作品では、複雑で暗いストーリーを主軸にしながら、妙に軽いノリや、雑な展開が目につき、ユーザーからの評価は今一つ。
売り上げが良かったことや続編のエクシリア2で評価を持ち直したところから有耶無耶になりましたが、個人的にはゼスティリアの失敗はエクシリアのころから予兆があったように思います。
実際に、ネット上でも「テイルズの凋落はエクシリアから始まった」という意見もありました。
そして、結果論ではありますが新規ファンの開拓には失敗したこと。
おそらく開発スパンを短くするためだと思いますが、エクシリア⇒エクシリア2やゼスティリア⇒ベルセリアと世界観を同一にする作品が続きました。
上記はいずれも、前作で評判を落とし続編は高評価となってしまい、評価が高い作品から手を出そうとしてもその前の評判の悪い前作と世界観がつながっていることから、新規の方が手を出しづらい状況になったのではと考えます。
まとめ
個人的には馬場プロデューサーは新しい時代への適応とテイルズシリーズの知名度向上の役割を果たしたと思います。
その上で、
プロモーションは相当優秀であり、新作の発売スパンが短いながらも、ユーザーの満足するバトルシステムの構築ができたなどのマネジメントも凄かった。
ただ複雑でシリアスなストーリーとゲーム全体の世界観や物語の展開をすり合わせることができなかったことや、ストーリー上のトリックにこだわりすぎてテイルズファンとの価値観に溝ができたことが大きかったと思います。
ストーリーの細かいところにあまりにもこだわりすぎかなと。
テイルズシリーズの魅力というよりは自分の作った作品の魅力を伝えようとして独りよがりになってしまったかなと考えました。
馬場プロデューサーはスクエニに移り、新規IPを立ち上げようとしましたが、企画は頓挫しそのまま退社。
個人的には新規IPの方が馬場さんらしさは出せると思うので、残念です。
コメント