ある双子の女の子の家の隣に男の子の一家がやってきて家族ぐるみの付き合いとなり、幼い頃から三角関係の土壌を肥料たっぷりに作り上げ、思春期という春にそりゃあもう見事な捻くれた三角形の花を咲かせた今作品。
おそらく、双子の家の犬の名前はパンチでしょう。
「タッチ」あだち充 小学館
まあ、こんな犬はいませんでしたが。
作者の高村先生の圧倒的な範囲のサブカルの知識量をこれでもかと出し、会話が濁流のように流れていきました。双子の美少女とクールぶっている純情ボーイ主人公とのややこしすぎて三角形になっているのかすら分からない関係を、結構生々しい女性キャラの視点で描かれているのが印象的です。
圧倒的な引用範囲
ライトノベルでアニメや漫画、ゲームの知識を出して例えていくのは割とありがちだと思いますが、この作品で出てくる例えの範囲は広すぎて、私は1割も分かりませんでした。
アニメや漫画はもちろん、映画(和洋、新旧問わず)、純文学、ミリタリーなどから、これでもかと引用が出てきて
「なるほど・・・分からん!」状態です。
しかし、話の流れから言おうとしていることは何となく分かるようになっており、すごいなあと思いました(語彙力不足)。
でも、時々私でもわかる引用先、「インターステラー」や「ジェームズ・ボンド」が出てくると私のテンションは滅茶苦茶上がりましたね!
そういえば、「ボンド。ジェームズ・ボンド」って自己紹介するなと今作を読んで改めて思いました。
・・・いや、スパイが本名で自己紹介するなよ。
(純情+ひねくれ)×三角関係=混沌
まず、この巻の最初の状態が下記です。
白崎 純
双子の妹 神宮寺那織が初恋の相手。頭がよく知識量の多い那織に認めてもらうため、勉強も頑張り本もたくさん読んだが遂に那織には相手にされず(と思い込む)。落ち込んでいた中3の時に双子の姉の琉実から告白を受け受諾。付き合ううちに琉実のことを好きになったが、高1でフラれる。
神宮寺 琉実
純は一目ぼれの相手。ずっと好きだったが自分より趣味(サブカル)が合う那織と両思いなのを知っていた。焦りから中3の時に告白。それから1年、幸せに付き合っていたが、両思いの二人の仲を引き裂いた罪悪感にさいなまれ高1に上がると同時に純をふる。その上で那織と付き合ってくれと純にお願いした。
神宮寺 那織
琉実が幼い頃から純を好きなことを知っており、純が姉にふさわしい人物か見極めているうちに自分も好きになる。ひねくれて臆病な性格が災いし、姉に先を越される。琉実が純をふったのは自分のためだと勘づいている。
で各キャラの特徴は下記
白崎 純
成績は学年トップでクールを気取っているが、一皮むければただの鈍感な純情ボーイ。中途半端な気持ちで双子と向き合えないと苦悩します。が、割と良く流される。
神宮寺 琉実
スポーツマン。純のことがずっと好きな乙女。だが、それと同時に妹のことも大好きなシスコン。
神宮寺 那織
頭の良いガチサブカルオタク。自分の女としての魅力には自覚的であり、それを発揮する方法(仕草・ファッション等)も知っている。男の私からして「あ、絶対に同性から嫌われるな」という言動をするが、中身は割と純情。純も姉も好き。
こじれる要素しかねえな!
という関係で始まります。案の定、上記の3人は思い込みやひねくれた言動を繰り返していきますが、この3人の中では比較的全体を見れている那織が一計を講じ、最終的に双子が互いに遠慮しないで純を巡って争える状態にまで持って行きました。
その状態がこちら!
神宮寺 琉実
妹への罪悪感を払しょくし、純粋に純にアタックする覚悟を決める。
神宮寺 那織
姉からお膳立てされた状況を嫌い、姉妹の関係をフラットにして純へアタックする立場を平等にした。
白崎 純
・・・疲れたので、しばらく男女の交際は遠慮します・・・
「BLEACH」久保帯人 集英社
さてはこいつ純情じゃなくて、ヘタレだな!
まとめ
一旦、双子の姉妹の中で遠慮がなくなり真正面から恋愛バトルができるようになった1巻。
割と流されがちで、私からの好感度があまり高くない純ですが、私はドロドロの恋愛が大好きなので2巻以降は新ヒロインが出てきて、もっともっと流されても構わないです!(私の中で主人公の好感度と作品の面白さは必ずしも比例しないので 例:White Album2)
あと作者の高村先生は女性ですかね?。女性同士の会話時の下ネタ?の表現が結構生々しく、また男に対する評価が冷静で(冷徹で)シビアだったので、そう感じました。
那織視点は特にサブカル知識の濁流に飲み込まれそうになりましたが(笑)、高村先生がどれだけ物語が好きかが伝わってきて楽しい気持ちになりました。
・・・那織が一緒のクラスだったら絶対好きになってたな~。そして、「あ、こいつ俺のこと好きだな」って勘違いして、告白されるのをひたすら待って、そのまま卒業するパターン。
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