「とってもカワイイ私と付き合ってよ! 2巻」 感想

著 三上 こた
画 さいね
角川スニーカー文庫

過去に壊れてしまった関係は戻せるのか。
戻れたら幸せなのか。

これが今回の大きな一つのテーマかなと思いました。

ナルシストながら甘え上手で、反面人一倍空気が読めるヒロインと
人付き合いに頑張ることに疲れた冷めた主人公の偽装カップル青春ラブコメ。
(偽装である必要はもはやなし)
ナルシストでありながら読者が好感を持ててしまうヒロインと
思春期のリアルな人間関係の描写が特徴的な作品となっています。

当ブログでは2巻からという中途半端なところからの感想です。

前回はヒロイン周りの人間関係が(ひとまず)決着、
今回は主人公が人付き合いに頑張り、
最終的に疲れて壊してしまった中学時代の女友達との関係が焦点になりました。

和泉 大和(主人公)
中学時代に人付き合いに努力し、円満な人間関係を作ることに成功したが
良好な人間関係を作るために自分を偽ることに疲れ
高校ではぼっちの廃ゲーマーとなった主人公。
この主人公の好きなところは人間関係に積極的ではないことに説得力があるところです。
中学時代は人に合わせようと頑張り挫折⇒自分のペースで生きていこうとするなど
しっかりと人物描写に背景があるのは違和感なく読めるなあと思いました。
ただ、何か問題が起きた時に積極的にリーダーシップを発揮するのは             個人的には違和感がありました。
中学時代にバスケ部をまとめていたので能力自体は問題ないのですが
人間関係に疲れてしまった背景から、関わるにしてももう少し消極的に            関わるのではないかなと感じました。

七峰 結朱(ヒロイン)
自分の可愛さを自覚し主人公に対してはナルシスト全開で甘えるも
人間関係の機微には敏感で、うまく立ち回れるヒロイン。                    ナルシストでありながら憎めない、むしろ可愛いと感じてしまうところが大きな特徴ですが
私の思うこのヒロインの可愛いところは根の部分では割と大人なのに
主人公に対しての好意を素直に出すところだと思います。

主人公の中学時代の女友達が出てきたところで主人公に対して
嫉妬していると素直に伝えているところはすごく可愛かったです。
しかし今回の話のテーマからは少し蚊帳の外だったかなと思いました。
主人公と女友達の関係の決着がテーマであり
また主人公が物語の最初から大まかな結論を出していたこと、
女友達は恋愛感情はないと明言し、実際に行動も起こさなかったことから
主人公とヒロインの関係が危ぶまれる予兆(不安)はなく
読者から見ると良くも悪くも主人公とヒロインの関係は安定していたなと感じました。

柊 日奈乃
主人公の中学時代の同級生
人見知りで友達がいなかったが主人公と親しくなったことで
人間関係に積極的になり友達も増えました。
しかし、人間関係に疲れた主人公とは疎遠になってしまい、そのことを後悔しています。
関係を修復したいと思い、そのためには元の大和に戻ってほしいと願っていますが
(本心かどうかはともかく)大和に恋愛感情はないといい実際に行動もとりませんでした。
あくまで(恋愛的ではない)中学時代の関係を元に戻すことが目的であり
新しい関係(恋愛関係)を作りたいわけではないというのを
強調したかったのかなと感じました。
その分、主人公とヒロインの関係を邪魔しないようにしたのか
3人で話が進むということはあまりなかったのが残念でした。
(大和と日菜乃が昔の話で盛り上がる→結朱が嫉妬するの流れが好きだったので・・・)

関係が変化することは悪いことではない
元の関係に戻りたい日菜乃と元の関係には戻れないと確信している大和。
大和は人間関係対して丁度いい距離感を保てるようになった自分と
人間関係に積極的になった日菜乃では元の関係には戻れないと確信しており
ただお互いが自分らしく生きている今のほうが幸せなのだからいいじゃないかと
考えているんだと私は解釈しました。
この考えが正解かどうかはともかく、私としてはこの考え方は好きです。
好きなんですが・・・この二人、少なくとも私には再会してから仲良く
コミュニケーションをとれているように見え、友達関係であれば
普通に戻れるのではと思いました。

もはや何が偽装カップルなのか
さっさと爆発しろこのバカップル
と名目上の偽装カップルに何度もあきれてしまいました。
あとがきで三上先生も書いていましたが、何が偽装カップルなのかと
大和はともかく、結朱は嫉妬を隠さないどころか
「私の前でほかの女と楽しそうにするな!」と大和に直接言う始末。
まあ、そんなイチャイチャでついにやけそうになるくらい可愛かったですが・・・
ただ、最後の大和の告白のような宣言も
序盤のイチャイチャで偽装カップルならではの相手に対して深くは踏み込めないという
描写があったらもっと印象が強かったかなと。
散々いちゃついた後の告白だったので
「・・・もはや要る?それ?」と正直思っちゃいました。

まとめ

高校生にしては人間関係に関して達観している主人公と
いい意味でうざく絡むヒロインとのイチャイチャがすごく楽しく
そこに少しシリアスな人間関係を絡め、
バランスよく緩急をつけることで間を置かずに一気に読める作品でした!
個人的にはもう少し踏み込んだ人間関係のギスギス感があるとよかったです。
大和と日菜乃が楽しく会話しているようでも、やはり壁があると
大和は感じていましたが、私としては普通に楽しく会話できているように見えました。
完全に好みになりますが私はホワイトアルバム2みたいな重ーい三角関係が大好きなので
日菜乃にも大和と結朱の関係にもっと踏み込んでほしかったなとも思いました。
人間関係の緊張感がもっと出ていれば私としてはより話に入り込めたような気がします。

まあ、それはそれとしてイチャイチャも大好物です!
今回で、お互いに告白したようなものなので次巻では
もっと攻めたイチャイチャが読めることを期待したいと思います!

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