「氷の令嬢の溶かし方」 感想

著 高峰 翔
画 加川 壱互
モンスター文庫

誰にも心を開かない美少女が自分だけには心を許してくれる
男ならだれもが憧れる設定だと思います。
この作品はそんな設定を真正面から描いた作品です。

誰も寄せ付けない「氷の令嬢」と呼ばれるヒロインが
主人公の世話焼きによって徐々に主人公に心を開いてゆく物語

文章がすごく綺麗だなと感じ、ヒロインがだんだん態度を
軟化させていく描写がかわいかったです。

ただ個人的には主人公とヒロインのキャラクターが
少し掴みづらかったかなとも感じました。

火神朝陽(主人公)
無愛想だが世話焼き、料理が得意
基本的に精神年齢高めであまりストレスを感じない主人公でしたが
ヒロインに対しての恋愛感情を肯定しようとしないのは違和感を感じました。
これが恋愛を馬鹿にしてるとか、斜に構えているとか恋愛にトラウマがあるとかなら
分かるのですが、火神はそういう主人公ではないので尚更疑問に感じました。
特に示唆されていませんでしたが何か理由があるのかもしれません。

氷室冬香(ヒロイン)
人を全く寄せ付けないヒロイン
成績優秀、スポーツ万能だが料理は不得意。
徐々に主人公に対して心を開いていきましたが
特に終盤のスープの作り方を教えるという約束をしてから
主人公への態度がかなり軟化(子供っぽくなった)したのは
すごくかわいかったです。

ただ過去や主人公以外の人物への対応の描写が少なかったので
どういうキャラなのかが深くは知れなかったなと思いました。

氷の溶かし方
タイトルにもある通り、誰も寄せ付けない氷の令嬢の溶かし方がテーマかなと
思って読みました。
冬香がどんどん態度を軟化させるところはすごく可愛かったです。
反面、じゃあ主人公がどうしてヒロインを溶かせたかは具体的には分かりませんでした。
世話焼きの面や料理ができてヒロインに教えられたところがきっかけなのは
なんとなく分かりましたが、じゃあ決定的なものは何だったのだろうというところは
個人的にはぴんと来ませんでした。

やはりヒロインが人を寄せ付けなかった過去が描写されないと
その点はわからないかなと思います

登場人物の特徴
上記にもあるように主人公もヒロインもどういうキャラクターなのかが
深くは分からず、あまり特徴を感じられなかったなと思いました。
今後キャラに関しては深堀していくと思うので次巻に期待したいです。
一方、主人公の両親はすごく特徴的で惹かれました。
ある意味空気は読まず、それでも周りを明るくさせる父親と
表情なクールだけど言動はお茶目な母親。
この二人の馴れ初めは是非読んでみたいなと思いました。

まとめ
似たような設定の作品で
「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 」を思いだしましたが
そちらとの相違点は主人公が(料理が苦手な)ヒロインを助けるという構図でしょうか。
その点、主人公とヒロインの関係はより対等な気がしますが
その分あくまでギブアンドテイクを意識して、互いに相手の内側に
踏み込めてないように感じました。
今後、恋愛方面に傾いていけば、もっとキャラの内面を知れると思うので
次巻に期待したいです!

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