試し読みの感想でも書いた通り、
ヒロインに一目ぼれした色ボケ主人公が、ヒロインにTSし、最強になる学園ものという属性てんこ盛りの作品。
ここまで属性が重なると、情報量が多くなってわけが訳が分からなくなりそうですが、そこのバランスが凄い。テンポ良く笑えるコメディ展開を繰り返しながら魅力的で可愛い女の子たちが際立っていました。
また、伏線回収やシリアス展開でも純愛を貫く主人公も爽快感がありました。
エンタメとして凄く満足度の高い一冊でした。
一目ぼれの相手(世界最強の魔女)と合!!体!!
ヒロインとの最初の出会いの場面で、互いに死にかけるという衝撃的な始まりをした今作。
ヒロインの彩禍は世界を何度も救ってきた最強の魔女であり、このままでは互いに死んでしまうと考え、主人公の無色と融合することにしました。
つまり――体は彩禍、頭(心)は無色となり二人で一人の人間となってしまいます。
合体してしまったこと、そもそも魔術という自分が認識していなかった世界に巻き込まれてしまったこと。動転する無色は説明役の黒衣に対して次々と質問します。
「彩禍さんの好みのタイプは?」
「彩禍さんのご趣味は?」
「彩禍さんのスリーサイズは!?」
ふざけてんのか、この主人公
どうやら、彩禍に一目ぼれした無色は彩禍以外のことは頭に入ってこないようです。
しかし、そんな無色でも彩禍と自分を殺しかけた犯人がいる話になると真面目に聞くようになります。また、魔術学園の長である彩禍の姿になったことで彩禍としてふるまうことも必要となり、それと同時に魔術のことも学ぶ必要が出てきました。
というわけで学園長の彩禍が一学生として魔術学園に通うことに!
学園ではラッキーハプニングを含めたドタバタラブコメが繰り広げられて、特に前半はニヤニヤしぱなっしでした。
個性的という言葉も生ぬるいキャラクター達(主に妹)
個性的(すぎる)キャラクター達もたくさん出てきました。
一見、ヤンキーだが作品内トップクラスの常識人の男性教諭(私のお気に入り)だったり、彩禍がいないところでは色気たっぷり、彩禍がいるところでは小動物系プルプルになる女性教諭だったり。
特に強烈なのは無色の妹。
実は無色とは生き別れの兄弟であったり、魔術学校の中でも選りすぐりの騎士だったりするんですが、そこの辺りの設定は本人の個性の前にどうでもよくなります。(良くはないけど)
彼女は普段は真面目な優等生なのですが、彩禍のことを大尊敬しており、 彩禍(中身は無色) が同じクラスに編入した時には
「魔女様の制服姿なんて滅多にみられるものじゃない!後世に残すために写真を撮らなくてはならない!」
となりました。一方、無色の体で編入した際には(一定の条件下で無色の体になれる。)
「絶対、ぜぇぇぇたぁぁぁい、この庭園(学園)から追い出してやるんだから(大好きなお兄ちゃんを危険な目には合わせられるかぁぁぁ)」
となりました。
主人公にもヒロインにも好感度MAXな妹キャラって珍しいな・・・
デレデレかツンデレかはの違いはありますが
こういう特定の人物に執着するキャラはちょっと面倒くさいなと思うときもあるんですが、橘先生のバランス感覚が凄いのか、面倒くさいどころか面白くて好感の持てるキャラになっていました。
ただ、無色が学園に来た理由を「好きな人を追ってきて」といった際に
「それって私のこと!?」
という考えになったのは大丈夫かなこの妹・・・と思いましたが。
純愛で戦う主人公
ラブコメ成分たっぷりな前半から一変、後半は序盤で無色と彩禍を襲った犯人が判明し、一気にシリアスになります。
犯人は未来の彩禍。未来で起こる世界の滅亡を防ぐために、人口を三割減らしに来たと。そのことを現在の彩禍が認めるわけがないため、先に彩禍を殺しに来たようです。
それに対し、反発する無色。理由は「そんなの彩禍さんらしくない」から。彩禍に恋し、彩禍をだれよりも想った無色だからこその理由。
その純愛が奇跡を呼んだのか、彩禍の体ではなく無色の体で未来の彩禍を倒します。
一旦の脅威は去りましたが、未来の彩禍が示唆していた世界の滅亡については何一つ解決していません。そんな中で彩禍のために身をささげることに何の躊躇もない無色。その代わりとして――
「世界の危機が去って、体が分離出来たら彩禍さんにプロポーズする権利をください」
前半のコメディ部分でも、後半のシリアス部分でも純愛を貫いた無色。
1巻丸ごと、特定の人物に純愛を貫く主人公は珍しい気がしますし、何か爽快感がありましたね。
まとめ
1巻として非常に面白くて完成度の高い作品だと思いました。
あれだけ個性の強いキャラクター達を出しながら、物語としてキレイに纏めているのも見事。
早く2巻が読みたいなあと思った作品です。
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