現実でラブコメできないとだれが決めた?2 王道のラブコメを目指しながら、ラブコメの主流とは外れる物語

ガガガ文庫

☆3.9

1巻の感想にまさかの初鹿野先生が反応してくれるという驚きの状況に、戦々恐々としてしまう小市民の私。しっかりとした感想を書いた方がいいんじゃないかと思いましたが、気合入れたところでクオリティに差ができる感想を書けるわけもないので駄文をつらつらと書いていこうと思います。

1巻では理想の青春ラブコメを現実に作り出そうと、ビックデータをもとに行動をしていた主人公の長坂。2巻でもその目的に向かってひたすらに行動していきます。

主人公の長坂の考える理想的な青春ラブコメは魅力的な女の子に囲まれるハーレム的な生活ではなく、自分の周りが全員幸せになれる青春物語。この2巻ではその主義に基づいて話が動いていきました。そのため、今のラブコメの主流とは少し異なるストーリー展開になった気がします。

その一つとして、主人公周りには関係のないクラスメイトに着目したこと。長坂は自分の理想の青春にはクラスの青春適正値が高い(クラス内全員が仲良く、行事にも積極的)必要があると考え、クラス内で影響力のある各クラスメイトに関わっていき、クラスに団結力と調和をもたらそうとしました。主人公の親友になれそうな枠でもなく、ヒロイン枠でもない人物たちと関わっていく主人公というのは、ライトノベルのラブコメだとかなり珍しい気がします。しかし、主人公とは特別な仲でもない生徒との関わりを見ることで、長坂のいるクラスをリアルに感じることができました。しかし、目的(理想の青春ラブコメ)はともかく、やっていることは滅茶苦茶優秀なクラスの委員長だなあ、長坂。

もう一つは主人公に攻撃的な女性キャラをヒロインに昇格させたこと。ラブコメの定番といえば定番なのですが、最近はあまり見ないなあと思います。理由の一つとしては、どうしても読者にヘイトを買ってしまうことがあると思います。特にラブコメは読者が主人公に自己投影することが多いと思いますし。そんな中で今回のヒロインである勝沼の主人公への当たりの強さは、もはや陰湿ないじめレベル。表紙や物語の流れから何となく最後にデレルのは分かっていたのですが、「これ挽回きくのか?」と思うレベルに長坂への態度が酷かったです。でも最後にはしっかり魅力的なヒロインになっていたのは凄かった。

長坂が実現しようとしている青春は、「可愛い女の子と仲良くなりたい!」という単純なものではなく、自分の周りが全員幸せになれるような青春を送りたいというかなりの夢物語。しかし、それでいて茶番っぽくならないのはキャラクター一人一人の描写が丁寧で感情移入しやすいからかなあと思います。個人的にはこの2巻で他のラブコメ作品とはちょっと毛並みが違う作品だなあと感じました。

ちなみに2巻では上野原や清里といったメインヒロインたちの印象がちょっと薄かったですが、このヒロイン二人は印象が薄い方が裏で何やってるか分からない不気味さがあるので、逆に存在感を感じるという矛盾した気持ちになりました。

・・・これは本当にメインヒロインなのか?

特に清里はラスボスなのでは?


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